ミーイズムの台頭と自由化促進のリスク

国家間の農業生産物の輸入関税率を決める協議が進められており、日本の主張より低い税率で決定される状況となって来ている様だ。グローバル経済の進展を目指して国家間の障害を少なくすると言う大義名分の下で農産物の関税引き下げ率の作業が進められているが、ユーローの様な運命共同体に参加した国々の中なら分かるが、グローバル経済と言いながら、国家間のエゴがウエイトを占める今日の状況において世界的な食料不足になった時に輸入できる保証がない国連の理想主義に意を唱える私は時代遅れなのであろうか。米国の大豆・トウモロコシなどが原油高に伴う代替エネルギー政策によって食糧としてでなく代替エネルギーとして使われる事になり、輸入量が大幅に減少し、大幅な値上げを引き起こした。関税率の引き下げを議論する前に、米国の代替エネルギー政策の様な原油1バーレルの価格が75ドル以上になったら代替エネルギーのしての利用に供すると大豆などに補助金が出る政策を先ず撤廃させる必要がある筈だ。確かに、グローバル経済は国家間の分業体制を構築する意味があるのであろうが、果たして構築できるのであろうか。日本の様な国家と同様に農業国家が豊かになれないのは自明の理であり、豊かさを追求してゆけば1次産業でなく2次産業にシフトしてゆく筈である。勿論、農業生産技術の向上により、面的な生産から立体的な生産へと移り、遺伝子組み換えやロボットなどにより飛躍的に生産率が上がることも予測されるが、問題は今は過渡期で今回の資源高騰の中でミーイズムの台頭を見る限り、自由化には現時点では限界があることを認識しなければならないという事である。尤も、私の自説に対しては、輸出で豊かになっている国が相手先の農産物などを輸入しなくて豊かさを求めることは出来ないということも十分に理解できる。問題はバランスが崩れた時の保証の問題である。日本の政策は、農業を犠牲にして輸出を推進し、その結果が自給率39%となっているのである。若い人達は、貿易収支が黒字なのは当たり前でお金を出せば何時でも何でも買える豊かな時代に育っているから、自給率39%のリスクに気付いていない。もし、今後、貿易収支が赤字になったら先進国では見られない巨額な財政赤字との双子の赤字となり、これが円安を引き起こし、国民は大変な生活難に陥ることは目に見えている。この事は決して夢物語でないのである。私は特別に悲観論者ではない。私は、茨城県の田舎に育ったためと、亡父が県の農業委員などの要職にあったので、子供の頃から農業生産と言う現場を知っているからである。一人でも私の考えを理解し日本の今日的なリスクを考えてくれればと思う。
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