小泉引退と息子の後継

小泉が引退を表明したが、当然であろう。もともと郵政民営化しか政治課題を持たなかった男に今後を期待できるわけがない。今回の引退は、地方に渦巻く小泉批判に対する自民党否定の矛先をかわす狙いと、自分が父親が亡くなってから出馬して落選した苦い思い出があるため、息子が丁度自分が選挙に出た年齢になったから引退を決意したのであろう。しかし、国会議員と言う職務はそれ程楽なのかと思ってしまう。私の亡父も若い時から地方政治に関心を持ち、地方議員として功績を残している。議会議長も何期か勤めたので長生していれば勲章も貰えたかも知れない。亡父の学生時代の友人は同様に地方議員を長く務めたので、「紫綬褒章」、「勲五等瑞宝章」を授かっている。私も事業家と言うより政治家向きと思っている友人知人に選挙に出ないのかと良く尋ねられる。母も自分の父親が地方議員であり、伴侶も地方議員だったので、私に期待するところはあったと思われる。これに対する答えは出ないである。亡父の選挙を見て育ち、この国の選挙民に対する蔑視が生まれたからである。子供から見ても亡父は議員として私利私欲なく地方自治のために頑張った。しかし、その見返りは首長選、県議会議員選に出馬しての落選であった。私は頭を下げて「お願いします」を連呼しなければ当選できない選挙などに出る考えはない。今の政治家は皆本音は選挙民を馬鹿にしている。一回でも選挙を遣ってみると、この国の民のために良い政治を行うと言う考えがなくなるのではないかと思える。2世。3世議員が悪いとは思わない。問題は本人の資質である。しかし、選挙民は利権を尺度に考えるので、政治家の世襲制が生まれるのである。特に、小選挙区になってからは政党政治の復活で個性が排除される。中選挙区を壊した愚策は誰なのかを見極めて投票することが大事である。

手嶋龍一著「葡萄酒か、さもなくば銃弾を」を読んで

自宅の近くの書店で偶然に手にした本だが、最近になく感銘を受けた。日本にもこの様な本を書ける人物がいたのかと思う。タイトルだけでは、一瞥して通り過ぎるだけであったが、不思議な題名のため手にしたところ、内容は世界の政治家や官僚に対する人物評であった。尤も、購入したが、直ぐには読まずに積んで置いて暫し忘れていた。それが、当面読みたい本を読み終えたので、何か買ってなかったと思って探して見つかったのがこの本であった。通勤の行き帰りに読むので時間が掛かったが、読後は現在の混迷した世相を読み解くには非常に参考になったと思う。その中の最終ページには、今の日本が「愚者の楽園」と化した姿を憂いて世を去った人物の事にも触れている。この中には今度、新総理となった「麻生太郎」の人物にもページを割いている。これには麻生に対してマスコミが報道している姿とは異なる面が書かれている。麻生家は明治維新後の家系としては群を抜く名門である。麻生太郎と言う人物について、麻生グループを率いた経営者として世間は余り評価していないが、斜陽の石炭からセメント産業にシフトし、バブル経済崩壊後には逸早くグローバル経済に対して布石を打っているのである。勿論、現経営者は弟だが、兄と言う存在から麻生太郎の意向を無視しては出来なかった筈である。この一つとっても、麻生太郎と言う人物は非凡と思える。政治家という資質も、祖父の吉田茂、更に先祖が大久保利通、牧野伸顕であるので充分と言える。世間は、庶民の味方は貧しい家庭から出世した人物と言うが、私は逆であると考える。下から這い上がってきた者には他者に対する優しさはない。逆に、育ちが良い人こそ他人に対して優しいのである。お金に対してもクリーンである。小沢一郎と言う人物の危険さを私は知っているので、麻生太郎に頑張って貰いたいと思う。

実務家も判断が難しい今回の米国発の金融危機の行方

今回の米国発の金融危機については今後どの様な収束を見せるのか判断が難しい。特に、不動産証券化などのスキルに精通していない欧州の金融機関に今後の金融危機波及の不安を見ている識者もいる。米国一国で牽引してきた世界景気がベトナム戦争時と同様なイラク戦争で体力を消耗している米国を襲った金融危機は、大きな変革を齎すことになる可能性は高い。大恐慌も懸念されているが、過去の時と比較して情報化の時代であるので、其処まで悲観的になることはないと思われる。問題は"合成の誤謬"などで金融危機の処理が遅れることである。一方、日本は自民党政権が続くか、民主党政権が発足するかによって今後の対応が異なると思われる。自民党政権のように官僚の発想通りでも駄目だが、民主党政権が本当に官僚を御する能力があるかどうかも疑問である。大事な局面に政治が混迷していると、バブル経済崩壊時の政治と同様に失政を繰り返す事になる。グローバル経済に合わせた透明性が高いと言われる投資用の会計基準が金融危機に拍車を掛けているのも気になる。何れにしても、ベトナム戦争の時は、為替の変動相場制などが導入されたが、今回の米国発の金融危機で金融のビジネスモデルが変わる可能性もあり、その動向に注視する必要はある。

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