規制緩和論者は現場を知らない

規制緩和論者は規制緩和が企業の経済活動を活性化させ、停滞している経済を成長に導くと唱えている。如何にも正論と聞こえるが、歴史的に何故規制が生じたのかを考える必要があろう。資本主義の勃興時には参考になる事例がなかったので規制などは殆んどなかったのである。金融を見れば、銀行業務、保険業務、証券業務は分離してなく、後年に問題が生じたので業務を分けたのである。しかし、英国のビックバン、米国の規制緩和は先祖がえりのように規制緩和を行って金融業務の一体化を進めたのである。確かに、規制緩和は停滞していた経済を活性化させたのは論を待たないが、この繁栄は不正による行為や株式上場の安易さを生み出し、虚栄であったことがサブプライム問題で分かったのである。それが、依然として規制緩和論者は歴史を学ばずに、一面だけの悪い面を指摘して規制緩和を促している。本当に経済を活性化させるためには、不正を生み出す様な先祖がえりの規制緩和でなく、国民から意識が乖離している現在の行政組織の抜本的な改革である。現在の一部上場会社の相次ぐ倒産とライブドア事件を見ると、資本主義の勃興時に世間を不正行為で騒がせた英国の南海泡沫事件と全く同じなのには驚く。規制緩和論者は、建築基準法改正で建築審査を民営に委託したためにどれだけ甘い審査が行われているか知っているのだろうか。構造偽装事件などは氷山の一角にしか過ぎない。況してや、利益至上主義の社会に規制緩和をしたら不正が横行するのは当然である。尤も、日本の規制緩和は税収入と関係ないところでおこなわれており、背後にいる財務官僚の指導で進められているのがよく分かる。本来なら、自動車取得に対する規制緩和である。新車も中古車も取得税・登録税が同じと言う馬鹿らしい問題に変更を行っていない。何故その様な事が起きるのかは、その税金が排気量で決めているからである。現実主義の米国では価格で決めているから安く買えば税金も安いのである。これが本来の規制緩和、資本主義経済のあり方である。この税制は新車を買わしてトヨタなどを保護すると同時に税収も確保する一石二丁を考えてのことであろう。経済の活性化を考えたら、売買価格での取得税・登録税に変更することによって中古市場が大きく成長するのである。この様な事例は沢山ある。経済化活性化のための改革とは何かを規規制緩和論者は官僚の与えた資料を棒読みするのでなく、現場を見て考えろと言いたい。
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