非常事態に必要なのは経験知

1929年の大恐慌時の日本は、財閥の新興財閥潰しと政争、更に理論先行の官僚によって多くの企業が破綻した。5.15事件を起こした軍人の三上卓が書いた"青年日本の唄「別名:昭和維新の唄」"にもある様に、当時の大財閥は国家を思う心もなく、国会議員は国民のことなど眼中になく権力闘争に明け暮れていた。官僚は世界情勢を考えずに金解禁と金融機関の整理統合に邁進していた。歴史を見ると、全く昨今と大して変わらないのに驚く。また、この時に多くの銀行を整理統合した結果、多くの中小企業が破綻し、且つその後の企業の設立にブレーキが掛かり、日本経済は活性化が失われて行ったと言われている。この事を考えると、数年前に日本では大手銀行が過剰であるので整理統合が必要として3都市銀行+1準都市銀行に編成してしまった事が、今回の世界金融危機にマイナスに作用しなければ良いと思われる。本当に、日本では都市銀行が多すぎたのか今となっては疑問に感じざるを得ない。理論先行型の官僚が金解禁と同様に間違った舵取りを行ったかどうかは今後証明されるであろう。少なくても、現状の大手銀行の貸し渋りを見る限りは間違った選択をしたと思われる。大恐慌に関しては、人生のこれ以上ないと言う辛酸を嘗め尽くした「高橋是清」が大蔵大臣となって危機を脱した。彼の考えは理論でなく、経験知から導き出した政策であった。非常時代には小賢しい知恵など役には立たない。本当に役に立つのは禅で言う「行動」と「体験」である。今回の難局に苦労していない2世、3世の議員に委ねなくてはならない日本は先が危ぶまれる。
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