不安を煽る社会

日本のマスメディアは良くここまで人々に不安を起こすニュースや記事を報道するのかと驚く。不安や三面記事が多くの人々の関心を引き付け、新聞・雑誌などの売上げ増やTV視聴率のアップに繋がるので必要以上に煽り立てるのであろうが、現在のような世界的な金融危機の場合には社会にとって大きなマイナスしか生まない。然もこれ等の報道にはバイアスが掛かっており、報道を鵜呑みにすると危険性が高い。翻って、この様な報道姿勢を取り続けると、最終的には広告の減少と言う形で自分の身に振り返って来ると言うのにである。私は真実を隠せと言っているのではなく、報道にはバランス感覚が必要と言っているのである。この様な不安な時代には希望を見出せる話題も積極的に報道する必要があるのではないかと言いたいのである。昨今、問題となっている食品関係の汚染や賞味期限の改竄などは、食料不足で餓死者が出る時代では問題にならない筈である。本来はこの様な事が起きた背景に対して鋭いメスを入れるのが、社会の木鐸を自認するマスメディアの姿勢ではないかと思う。今の社会は情報化社会と言いながら個人個人は仕事や興味のある事柄以外には意外と知識が少ないのが現実である。このため、自分が知る範囲の情報以外は、新聞・雑誌、TVニュースを無批判に受け入れている。日本のマスメディアの情報の出処を思うと報道を鵜呑みにするのは危険なことと理解するべきである。良く新年に経済予測を各界の有識者が立てるが当った試がない。今回の金融危機に対してマスメディアの報道は悲観的た立場を貫いているが、先の事など分かりもしないのに無責任な報道などするなと言いたい。先日の元厚生事務次官夫妻に対するテロ行為もマスメディアが必要以上に年金問題を報道したから起きたことである。建築業界に起きた構造偽造事件も然りである。この事が起きた原因は建築士の問題でないのに、結局は官の情報操作によって建築士の問題にされ、一件落着としてしまったメスメディアの責任は重い。グローバルな社会と言いながら報道内容だけは世界標準がないのは不思議である。

建築基準法の規制緩和後の建物の危険性

2000年以降の建築基準法の改正に伴う規制緩和後から構造偽造事件後の再改正迄の建物については、悪意でなくともプロセスにおいて間違いが生じやすいシステムで建築されているので、この期間の建物を購入する場合には十分に図面等をチェックする必要がある。小泉政権の置き土産の建築基準法の改正は、建築確認手続きの短縮化が目玉であった。この目玉が、建築に至る過程で間違いを生じさせる原因となっているのに気づいている者は少ない。改正前の確認申請手続きについては、建築に必要な詳細図を添付して審査を受けたのだが、確認手続きが民間委託されると同時に、確認申請図面も従来の様に必要な全ての詳細図を添付しないでも良い様になった。このため、確認通知後に、詳細図を作成する事に変わったのだが、問題はこの時に工事費の削減などの作業を入れる様な段取りとなり、変更の変更などを繰り返し、現場が混乱して最終的な図面でないもので建築してしまった建物が多い事が分かってきた。この間違いは建築偽造事件の様な悪意から生じたものではないかもしれないが、その業界でも経験者が少なくなっている現在では誤りに気が付かないケースが増えていると思われ、日本の建築業界も信頼性の低下を著しく生じさせている。何の準備も行わないで場当たり的に施行した建築基準法の改正のマイナスが生じてきている。建築基準法は過去の出来事を踏まえて改正してきたのだから、その点を考慮して規制緩和をすれば良いが、その視点を欠くと安全性に関して大きな問題が起きる事を官民とも理解すべきである。日本の建築基準法は厳しいのは有名だが、それは施行誤差や熟練作業員の不足などを考慮して安全性を見ているからである。昨今の様に熟練作業員が少なくなっている時こそ気をつける必要があるのに、それに逆行している規制緩和は国民不在の政治である。この規制緩和を進めた小泉を始めとして竹中平蔵や国会議員の責任を追及すべきである。

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