建築基準法の規制緩和後の建物の危険性

2000年以降の建築基準法の改正に伴う規制緩和後から構造偽造事件後の再改正迄の建物については、悪意でなくともプロセスにおいて間違いが生じやすいシステムで建築されているので、この期間の建物を購入する場合には十分に図面等をチェックする必要がある。小泉政権の置き土産の建築基準法の改正は、建築確認手続きの短縮化が目玉であった。この目玉が、建築に至る過程で間違いを生じさせる原因となっているのに気づいている者は少ない。改正前の確認申請手続きについては、建築に必要な詳細図を添付して審査を受けたのだが、確認手続きが民間委託されると同時に、確認申請図面も従来の様に必要な全ての詳細図を添付しないでも良い様になった。このため、確認通知後に、詳細図を作成する事に変わったのだが、問題はこの時に工事費の削減などの作業を入れる様な段取りとなり、変更の変更などを繰り返し、現場が混乱して最終的な図面でないもので建築してしまった建物が多い事が分かってきた。この間違いは建築偽造事件の様な悪意から生じたものではないかもしれないが、その業界でも経験者が少なくなっている現在では誤りに気が付かないケースが増えていると思われ、日本の建築業界も信頼性の低下を著しく生じさせている。何の準備も行わないで場当たり的に施行した建築基準法の改正のマイナスが生じてきている。建築基準法は過去の出来事を踏まえて改正してきたのだから、その点を考慮して規制緩和をすれば良いが、その視点を欠くと安全性に関して大きな問題が起きる事を官民とも理解すべきである。日本の建築基準法は厳しいのは有名だが、それは施行誤差や熟練作業員の不足などを考慮して安全性を見ているからである。昨今の様に熟練作業員が少なくなっている時こそ気をつける必要があるのに、それに逆行している規制緩和は国民不在の政治である。この規制緩和を進めた小泉を始めとして竹中平蔵や国会議員の責任を追及すべきである。

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