諸行無常

この言葉を最初に知ったのは高校の古典の時間で「平家物語」の書き出しを見た時であった。"祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、~"で始まる平家物語は余りにも有名だが、当時の古典の教師はこの一説が好きだったらしく執拗に暗記をさせられたので、今でも諳んじることが出来る程である。その後、この言葉が仏教用語であることが分かり、同様な本として鴨長明の「方丈記」を知った。何故この様な文を書いたのかと言うと、昨夜のNHKのTVニュースで今年1-3月の自殺者の数が例年を大幅に上回っていることを知ったからである。先進国では例の見ない年間3万人以上の自殺者が長年続いている。今年はこの状況だと4万人を越える最悪な年になる可能性が高い。最近のTV番組では、大学教授や経済評論家や外資系勤務の経営者などが出演して麻生政権の景気対策が選挙目当ての場当たり的なばら撒き財政であり、日本経済活性化には中長期的な財政政策が必要とコメントしているが、それでは間に合わない事を知るべきである。この不況で何等の痛みを受けていない連中がコメントする資格はない。麻生総理が欧州で開かれた20カ国会議に出席した時に欧州のメディアから受けたインタビュー記事を読んだが、麻生総理は実に日本経済バブル崩壊後の失政を理解していた事が分かった。今回の景気対策はその反省を踏まえて行なわれているものであるが、日本のメディアでそのインタビュー記事を掲載した所は殆んどない。良く改革には痛みが伴うとか明治維新では現在の様な状況よりは遥かに厳しかったなどと言及する馬鹿がいるが、それらの人々は大手のマスメディアの社員を始め、何等生活に困った者達ではない。日本を良くするには大手新聞社の新聞を購読しない、TVに広告を出さないことが早道である。朝日新聞などは優遇税制の恩恵を受けているにも拘らず脱税行為で国税に摘発を受けているのに、他社の脱税記事を掲載する資格はない。欧米諸国は宗教的に世の中の絶対真理の存在を追求し科学技術を発展させてきたが、実際の世の中は「諸行無常」であり、アジア文明は早くからその事に気づいて高い精神文化を築いてきた。今正にGDP(国民総生産)からGNH(国民幸福度)に尺度を変えるときが来たのをマスメディアは相変わらず欧米の物質文明の追求を促すだけである。真の豊かさとは何かを考える時期に来たのである。自殺者に対して合掌。
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