時代を見る視点とは!

金融危機の騒ぎで時代の流れが見えなくなっている懸念が起きている。21世紀ではあるが、現時点では20世紀の経済を引きずっているために多くの事で問題が生じているのかもしれない。米国の「クライスラー」と「GM」を見ても破たん処理は金融危機で多少早まった位であろう。米国車が日本車に負けた理由の一つには電子回路を利用した制御装置によって後発メーカーの追従を許さなかった油圧制御技術に優位性がなくなったことである。勿論、巨大なマーケットに安住して生産現場に良い車を造ると言う意識が欠如したことも大きな要因ではあるが。況してや電気自動車の出現は世界中の自動車メーカーの優位性を一瞬で喪失させる力がある。技術革新と先進国の国民の生活水準を維持するために発生したグローバル経済の流れは今回の金融危機で止まらないと判断するのが賢明であろう。特に、ナノテク、IT技術などの技術革新は目を瞠るものがあり、その実用化は目前に迫っている。21世紀に入っても20世紀の経済を引きずっていたので金融資本主義を出現させて経済成長を促すしか方法がなかったと思われるが、此処に来て漸く21世の技術革新が始まろうとしていると考えられ、それらの技術を駆使した社会経済システムが構築されるものと予測される。当社が活動する建築・不動産業界でも当然に21世紀の新技術を導入した作品を提供する事が使命であろう。金融危機は何れ収束するのは間違いないので、金融マン的な短期視点ではなく、メーカーの様な中長期視点で判断する事が今は必要であり、特に次の時代に対する視点を持って行動する事が重要と考える。

「日本の少子化は変えられない」と言う間違い

日本の少子化は既定の事実で未来永劫変えられない様な評論が目立つ。金融関係のアナリストまでもが平気で新聞雑誌に少子化を前提とした経済を構築する必要があるなどと戯言を書いている。少子化の先輩とも言うべき欧州のデンマークなどでは近年出生率が増えてきているのである。少子化の原因を分析しないで先進国は少子化になると言う議論はナンセンスである。子供を育てる環境があり且つ経済的な負担が軽減すれば、子供を一人に限定する訳がないのである。少子化は核家族や共稼ぎの社会に対して旧態依然の政策しか行ってきていない政府の責任である。小さな政府とは無駄な支出を抑えることで必要な予算を削減する事ではない。出生率が低下すれば国力が低下するのは自明であるので、その時代に応じた政策を実施して子育て支援するのが国家である。公務員夫婦の共稼ぎは、民間と比べて産休などに関して恵まれすぎているから、有効な子育て支援策がでないのである。行政組織は民間と比較して全ての面で待遇を悪くすれば知恵が出て能力を発揮できるのである。少子化対策など知恵を使えば多くの面で改善できるのである。共稼ぎは当然と言っておきながら公的保育施設の整備が遅々として進まない現状は許されるものではない。しかも、公的保育施設の預託時間を見ると、フザケルナと言いたい位に公務員時間になっている。民間の保育施設に任せるなら、補助金を出して公的保育園と預託料を同額にするのが当然である。しかし、実際は予算がないとかで民間の保育園に対しては規制だけを強化して有効な支援策がないのが実情である。貧困な福祉環境で少子化は変えられないなどと言う馬鹿者が発言しているから国は良くならないのである。

特定保守製品の情報伝達は仲介業者の仕事か!

平成21年4月1日から特定保守製品について宅建業者に告知義務等が課せられることになった。この制度は多発したガス給湯器に拘わる死亡事故に起因したものであるが、この事故に関しては宅建業者が一任的に情報伝達に対して責務を負うものではないと思料される。最近の事例では本末転倒の様な制度改革が多い。その一つに構造偽造事件後の建築設計士に対する研修制度の導入などである。構造偽造事件は犯罪である。建築士が知識不足で間違って起こしたものではない。それが何故研修制度に繋がるか不明である。役人の天下り先の確保としか見えないのが実情である。構造偽造事件は建築確認申請手続きを民間委託にしたことに起因しているので、本来ならば改善の必要があるのは確認申請手続きを代行する会社に対する査察や職員に対する研修制度の創設であろう。それが建築士の研修制度など建築設計事務所の対する監視強化となった背景には責任転嫁と役人の天下り先の確保、更には建築報酬のアップを考えた建築士関係団体の思惑が一致して違った方向で解決を図ったのである。今回の特定保守製品の告知義務を宅建業者にさせることに関しては否定しないが、付帯設備の説明などは従来行なってきているので余り意味がないと考えられる。もちろん、仲介時に耐用年数が経過している機器を設置している場合には警告にはなると思うが、賃借賃料や売買価格が安い場合には無視される話である。是正できる権限を有してこそ効果が出ると思われるが、その点には言及していない。住宅の付帯設備の問題は、売買物件より賃貸物件に関してと思うが、既にガス漏れ警報機や火災報知器設置などを義務付けているので、常識的には十分と言えるものである。このため、欠陥商品の事故ならメーカーが責任を取るべきだし、老朽化した付帯設備を交換しないで貸していて事故が起きたなら貸主か管理会社が責任を取るべきであるので、殊更宅建業者に義務を課す必要はない筈である。逆に、責任の所在が複雑化することにより、責任の希薄が進むだけである。住宅の瑕疵担保保険に関しても同様である。保険でカバーできる事で細心の注意が払われなくなる恐れもあるのである。消費者庁が創設される事になったが、権限を持たない役所の寄せ集めは現場が混乱するだけで役に立たない。最近の行政の動きを見ていると枝葉末節の類の改善で、本質的な問題の改善に何等役立っていない。このため、本質のすり替えの危険性が高まっていることに注意を払うべきと思料する。

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