住宅購入相談に関する四方山話

私は職業からこれまでに大勢の方から住宅の購入を検討するに際に意見を求められてきた。当社は建築設計事務所として住宅の設計に携わってきており、然も不動産仲介業として多くの住宅の仲介業務の実績もある。また、デベロッパーとして再開発事業の実績もあり、不動産ファンドのアドバイザリーなど不動産に関する経験は手前味噌になるが枚挙に暇が無いと自負している。しかし、不思議な事に実際購入するに際しては私の意見は一部の方を除き無視され、大分経ってから私のアドバイスを無視した事を後悔する話を聞かされるのである。後悔した人の中には、私の専門が不動産業であることを改めて気が付いた人もいて唖然とする。最近、不動産購入に関するアドバイス本などが人気があるらしいが、私に言わせれば悪戯に面白可笑しく書いてあるだけであり、中には何の科学的な根拠も提示しないで恐怖感を煽っているだけの事例を平気で書いている本もある。この種の本の新聞の書評欄には、「不動産購入前に知識を得よ」などと推薦しているのである。多くの人は公に販売された本などには信頼を置くが、私の様な専門業者の意見を聞き流すと言う行動に関して理解できない。ちなみに、悪く言うわけではないが不動産購入に関するアドバイス本などは素人では分からない専門的な知識を有する内容であり、悪徳業者の酷い事例を恰も一般論的に取り扱っているので、実際の購入においては信頼にたらないものである。私が相談された方に先ず指摘するのは、「不動産に掘り出し物件はない」と言う事であり、価格的に掘り出し物件と思えるのは瑕疵物件(自殺・殺人など)であると言う事実である。更に、マンションと戸建住宅の将来的な資産価値の違いやデフレ経済時での不動産購入のリスクなど基本的な問題からアドバイスをしている。私の不徳の致すところなのだが、当社女子社員などは結婚時の中古マンション購入時と数年前の戸建建築の2度ともアドバイスを無視した結果、大きな損失と現在進行形の損失を蒙っている。世の中は大企業や著名人の意見は信用するが、私の様な小企業の経営者の意見などに関しては評価しない様だ。尤も、知人の会計士の様にアドバイスは理解していたが、年齢と将来的な収入見通しを甘く考えて高額な新築物件を購入して失敗した事例もあり、人は時として必要以上に楽観的になるので致し方ないと思料する。デフレ経済であるが不動産はドメステックな産業なので、価格がユニクロの商品の様には下がらないのが現実である。ここ15年を振り返ると必要以上にコストダウンの流れになっており、それが構造偽造事件に繋がっているのである。別に不動産業界の言葉ではないが、「安くて良い物はない」のである。もちろん、短期的な商品ならば耐久性を考慮する必要はないのでそれなりに良くて安いものはあるが、不動産は長期的な商品であるので難しいが、もし強いて言うならば個別的な要因によって価格が変動する商品である点を考慮すれば、価格的に満足する物件お購入できるチャンスはある。一生に一度の高い買い物となる可能性が高い住宅の購入に関しては、設計事務所などにアドバイスして貰うことが必要と思われる。アドバイス・フィーなど安心を得る事を考えれば安いものである。
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