東京都心の周辺と孤立した大型開発

六本木ヒルズ、東京ミッドタウンの周辺の街並みを無視した自己完結型の高層ビル、新橋汐留地区の全く整合性のない高層ビルの林立を見ると本当に島国根性の世界観が小さい人々の集団なのが分かる。現在進行中の大型開発の全てが自己完結型の高層ビル建設であることを見せ付けられると東京都心の将来像を描けているのかと心配でならない。確かに、古い建物を耐震性と防災性の優れた建物に変えるのは必要と考えるが、問題は街の歴史を全て吹き飛ばして孤高の高層ビルを建てることに意味があるのかといいたい。現在の開発思考は歴史を持たない米国の開発の考え方に準拠していると思われるが、少なくても再開発で街を再生するならその町の文化的な香りも残した差別化した開発を行なう必要がある。六本木ヒルズなどは一時は珍しくて多くの人が見学に訪れたが、他に同様なビルが出来た時点で物珍しさがなくなり店舗などは閑散としている。日本人は将来像を見て建築物を計画するのは苦手な国民と思えるのは、日本を取り巻く自然と関係があるかもしれない。確かに、大型建築物は中国などから伝来した仏教寺院で、その外は武士が防御のために築造した城だけである。本来、日本人は大型開発や将来を見据えた考え方などは苦手なのかもしれないと思い、それなら日本に適した開発を考える時期に来たのではないかと思料する。馬鹿の一つ覚えの様に大型開発を推進するのは、公共事業の減少で経営に厳しいゼネコンの救済を意味するならば価値ある街並みを一掃してしまう大型開発は百害あって一利なしと言わざるを得ない。特に、その後押しをする行政については税金の無駄使いの典型的な姿である。特に、容積の割り増しで作らせた公開空地などはただ通行人の通る位しか活用する事ができず、然もビル同士の公開空地を跨ぐ様な活用は余り出来ない状態である。現場を知らない役人や知識人が描いたものなど実際には役に立たないものばかりである。東京都のマスタープランなどはお題目ばかりで現実的な開発を優先するあまり意味を成していない。今の日本人は日本的な良さに精神的な安らぎを求めているのに大型開発は逆行した考えで進められているので間違いなく失敗すると思われる。

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