東電・効率経営の大きなツケ

金融資本主義が日本を席巻し、日本企業は「選択と集中」、「効率経営」などに邁進した。確かに、日本企業は資産の有効活用が少なく資本の効率が悪い面があったのは否めない。また、多くの不採算部門の事業もインフレ時代は省みられなかったが、デフレ経済に入り、重荷になったのも事実である。更に、自己資本と比べ借入金過多の経営もデフレで継続できなくなって来たのも事実である。しかし、効率経営しなければ生き残れない民間企業と異なり、準公共事業会社として赤字経営にならない電力会社が安全を無視して効率経営に邁進したのは誤りと言える。JR西日本の事故も効率経営から起きた悲劇である。顧客より株主優先した結果が多くの乗客の人生を奪った。福島第一原子力発電所の事故を起こした清水社長は経営の合理化・効率化で出世してきた人らしい。福島原発に対するIEAの調査による安全弁の設置に関しても直ぐには実行せず再度の勧告でしぶしぶ実施したとの情報もある。今回の福島原発事故でこの弁がなかったらモット最悪な結果となったと推定されている。ここ15年で起きた工場などの事故は効率経営の結果で起きた安全に対する配慮を欠いたものが殆んどと思われる。安全とは、孔子・荘氏の「無用の用」である事と思料するが、欧米かぶれの経営者は省みもしない。清水社長がトップに立つまでにどの程度の経費を節減したか知らないが、誰が考えても福島原発事故で発生する賠償額の方が格段と大きいと思われ、効率経営の大きなツケとしては痛すぎる結果だ。清水社長と言う人物は東京電力の使命を忘れた最悪な経営者であろう。勿論、社長に登用した現会長も同様な責任があることは言うまでもない。

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