東北太平洋大地震による津波の過去との比較の間違い

東北太平洋大地震による津波に関して多くの識者は過去との比較を論じているが、この議論では比較データに関して前提条件が抜けている。明治時代の三陸沖の大津波は38m規模であることが地層や崖に残されていた標しで判明しているらしいが、冷静に考えれば明治三陸沖地震から100年以上経過し、この月日の中で強固な防波堤や防潮堤などが造られているのである。今回の大津波には役に立たなかったと言われているが、少なくてもその防波堤や防潮堤があったから今回の被害で済んだとの考え方も出来るのである。その様に考えると、今回の大津波は過去に例がない規模と推定され、近年世界中で起きている災害の大型化と相関する。数年前に米国のフロリダを襲ったハリケーン「カトリーナ」の事を思い出す。このハリケーンは史上最大規模といわれ、ニューオーリンズの大堤防が決壊して大きな被害となった。災害の大型化は温暖化現象によるとの説もあるが、現状では解明されていないのが現実だ。太陽の活動が活発化している影響もあると推定されるが、太陽の活動は周期的なものであるので災害の大型化の原因とするには説得力が弱いと思われる。しかし、間違いなく災害の大規模化は世界中で起きている現象なので、東北の復興計画に対するインフラ復旧に関しても単なる過去の比較と今回の津波の大きさだけで結論付けて行なうのは間違いとは言わないが、配慮が足りないように思われる。況して、財政難が前面に出され、予算ありきから復興計画を立案したのではお金の無駄使いとなる可能性が高い。人類が誕生して1万年、その内科学が発達して森羅万象を解明してきた時間は2千年前後だ。人類誕生以前に滅亡した恐竜の時代もあるが、その滅亡に対する明確な科学的な答えは推定の域を出ていない。話題が飛躍しすぎてSF的な内容になってしまったが、結論から言えば、今回の大津波は過去との比較で論じる以上の規模の大きさであり、この現象は世界的な災害の大型化と相関している恐れがあるので、少なくても復興計画には地球規模の大異変も頭の隅に置いて欲しいと言うことである。日本列島が今回の大地震を機に変動の時代を迎えたならばエネルギーの確保には従来の発想では役に立たなくなる可能性もあり、近代化による社会システムの普及も考え方を改める必要が出てくる。杞憂になって欲しいが、地球が何らかの活動期に入り今後とも大災害が起きると仮定すれば、多くのインフラの大規模化と集中は危機管理に対してはマイナス要因になる。豊かさの追求から生存可能なインフラが必要となると考えれば、少なくてもローカルの強化による東北復興が今後の指針といえそうだ。

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