日本の人口減少論に対する無理解を憂いる

どの新聞、雑誌を見ても日本は人口が減少して行くので企業はマーケットを海外に求め日本には未来はないと言及している。企業経営者もマスコミに影響されてか同様な発想しか持てていない。歴史観を持たない政治家や官僚、そして経済人が日本を誤った方向に持って行く姿は情けないのひと言だ。日本の古代史を見ると日本は移民の国であったことが分かる。DNAの分析では日本人は出アフリカの人類の祖先の枝分かれした殆んどを有していることが分かった。日本人は顔かたちは似ているが、頭の中身は多民族国家と同様なのである。日本文化には"根回し"と言う独特の事前調整行為がある。又、"沈黙は金、雄弁は銀"とする欧米の社会とは異なる文化を持っている。この理由は先に言及した多様な価値観を有する日本人の共棲するための知恵と考えられる。今は紙幣から消えた聖徳太子と言う聖人が作った17条憲法の第一条に「和を持って尊し」と書かれていることが全てを物語っている。話は大分横道にされたが、日本人が単一民族であると言う神話は嘘であったことが近年のDNA分析で分かったのであるから、日本が移民政策を否定する理由はないのである。然も、昨年から高齢者の死者数の増加で人口が初めて10万人減少したのである。今年は更に増加して12万人に増える予測が出ている。人口減が経済成長や景気に影響するなら人口増加を図る政策を打ち出すべきだが、日本人に対して子供を増やす事を奨励しても時間軸的には既に無理となっている。それならば、海外からの移住を積極的に認めるべきであり、それが日本版のグリーンカード制度の構築である。米国の経済はグリーンカード制度が貢献している事が理解されている。今般、13億人の中国が中国版グリーンカード制度の導入を打ち出した。中国も高齢化社会は目前としてるので、経済成長には優秀な移民が必要と認識し手を打ってきたのである。翻って日本は、過去に欧州各国が移民政策を採用して多くの問題を抱えたのを見て消極的な政策に終始した。しかし、今は事情が大きく変わったのである。また、日本は欧州の様な他民族と国境を接して長く争った歴史を持つ国ではないので、実際には移民の受け入れに障害となる単一民族意識の誤解を解くと移民との共棲が上手く行くと考えられる。勿論、日本の移民政策は、地方においては農業、林業、漁業の活性化に貢献する必要があり、都会においては優秀な研究者・技術者により技術立国を目指すものでなくてはならない。歴史をふり返れば、日本は多くの移民達が持ってきた技術により発展してきたものであり、現代日本が世界の有数な経済大国になったのは優秀な移民を祖先に持つからである。2000年以上前に日本列島に渡って来た韓国人を祖先に持つ日本人は多いのであり、その人達と過去100年以内に渡って来た韓国人と違いはないのである。今こそ、日本人こそグローバルなDNAを持つ唯一の民族である事を宣言し、新世紀の移民政策を実施する事が日本の繁栄につながることを認識する必要がある。

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