佐々木実氏の著作「市場と権力」を読んで

日本経済新聞の元記者である佐々木実氏が上梓した「市場と権力」を読んだ。著者は8年間の取材をベースに竹中平蔵の人生の軌跡を辿ったレポートである。著者は「改革」のメンターの地位を築いた竹中平蔵の実像を明らかにし、この人物に日本の将来が左右される是非を日本人に問いかけたものだ。竹中平蔵が小泉政権の時に大きな力を得て「構造改革」と称して日本を弱体化したことは明白だが、今度は安倍政権にも関与し、再び日本社会と日本人を外圧を利用して企みを進めている。著者は竹中の幼少時代から高校、大学の軌跡を追い、大学時代の同級生の父親の大蔵官僚を利用してインチキ人生を歩んだことを明らかにしてる。人との共作を誤魔化して個人の著作にする類は竹中の真骨頂の様だ。詭弁を弄して他者の発言を封じる天才的な才能に多くの者たちが誤魔化された。著作の中では触れられていないが、歪んだ性格と弱い者に対する冷酷さは、現大阪市長の橋下徹と同様の出身出自の問題だろう。みんなの党の党首の渡邉も同様だ。日本社会を壊す理由が存在する。竹中平蔵は現在、人材派遣会社のパソナの会長に就いている。このことで分かるのは、竹中平蔵は安倍政権ではパソナが目指している農業分野進出に有利な改革を企むということだ。この改革には不良債権処理や郵政民営化に用いた外圧の利用だ。そう言えば、橋下徹大阪市長も農協の解体などを日本維新の会の選挙公約に上げてきた。パソナの南部社長の出自は同じだからそれぞれが同じ思いで日本の農業を壊すことを最終目標にしてきたわけだ。何故農業なのかと言えば、憎き差別をもたらしたのは閉鎖的な農業社会だからだ。小泉政権時には利権屋が集まり、日本を食い物にした。安倍政権でも利権屋の影がちらついているが、安倍は政争政治屋で政策を全く勉強していなかった小泉と違うと思われるので、小泉の時の様には利権屋に利用されないかもしれない。しかし、秋に内閣の改造を行うことになるとみられ、その人事を見れば小泉との同様な道を歩むのかどうかが分かる。何れにしても、「市場と権力」を読むと日本社会が変遷してきた理由が分かると同時に今後の日本の将来についても示唆に富んでいるので一読に値する本と言える。
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