安倍ノミクスの円安政策は正しいのか

安倍のミクスで日本企業の輸出競争力を高め雇用や賃金を上げて日本経済がデフレを脱却して景気回復する軌道に乗せるために円安政策を進めている。本当に円安政策は正しいのだろうか。20世紀の時代なら兎も角、21世紀の情報革命がもたらしたグローバル経済で円安で日本企業の輸出を増やすことでデフレが解消するかもしれないが、一方で財政赤字と円安によるエネルギー輸入で貿易収支の赤字が続いている双子の赤字の状況を考えると本当にこれで良いのか疑ってしまう。

日本はエネルギー政策ひとつとっても円高による海外への工場移転など考慮せずに原発を造り続けてきた結果、発電所の過剰設備状態になっている。水道水の供給でも同様だ。全てが民生用でなく工業用を基準として需給予測を立ててインフラ整備を推し進めてきた。円高で海外に工場が移転しているにも拘わらずだ。この理由の一つがインフラ整備を政治家の利権として実施してきたからに他ならない。特に、日本の予算が単年度主義の仕組みで実施されてきたことも中長期的なインフラ整備計画の途中修正を出来無くして来た大きな要因でもある。

然しながら、福島第一の原発事故で全国の原発が稼働していない中で、円安で輸出が増加しているにも拘わらず、LNGなどのエネルギーの輸入コストが増えているために貿易収支の赤字から脱却出来ないでいる。円安政策を強引に推し進めているのは景気回復基調にあることを国民に見せて消費税増税を実現させることを優先しているからに他ならない。この点から言えば、原発再稼働が実現しなければ双子の赤字が続き、日本という国家の先行きが厳しくなるのは間違いない。

安倍ノミクスは本当に日本の現状を踏まえた政策なのであろうか。特区の戦略を見ていると地方経済に対する配慮が少ないし、20世紀型経済構造を非正規雇用制度を導入するなど無理して維持する政策としか映らない。非正規雇用制度だけでは足りなくて何時でも解雇できる解雇特区に到っては何をか言わんやである。経済社会が良くなるのは全体の国民の生活が向上することである。一握りの豊かな人々を作る社会で日本経済が良くなるわけがない。結婚しない男女が増加しているのは間違いなく雇用形態の変化からである。終身雇用制度が社会の安定と消費をもたらしたのである。グローバル経済にあって大企業が日本という国に立脚点を持ち続ける保証はない。特区など導入しても全体の流れから言えば流れに棹さす行為にしか過ぎない。

ここ十数年、景気回復には構造改革のために規制緩和が必要と言われ続けているが、必要なのは規制緩和でなく、限りなく膨張した行政なのは一目瞭然だ。日本は少子高齢化社会を迎えて総てが膨張から縮小に向かうことは必然だ。21世紀の日本に求められるのは経済成長ではなく、情報化革命で変わる社会経済の仕組みにあった構造改革である。それは空洞化している社会構造を縮小して行政コストを引き下げることであり、格差社会を拡大することではなく、少ない収入でも結婚が出来て子供を育てる環境を作ることである。現代社会は必要以上に子供の教育に費用が掛かかるなど教育制度も間違っている。新しい時代には新しい教育制度が必要なのである。その様な意味では、安倍ノミクスは旧来の社会経済システムの域を出ていないので、円安政策自体がミスマッチングしていると思われてならない。安倍ノミクスが日本没落の引き金になる可能性もある。

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