輸出促進者には高齢化社会の人口減少の需要不足しか見えないのか

最近やたらと日本市場は人口の減少で需要が先細りとなるので農水産物生産者などは輸出を考えないと生き残れないと言う論調が多い。この論には誰しもが抵抗なく頷いてしまう。しかし、良く考えると、人口減少は需要ばかりでなく、供給も減少するので、問題は需給のバランスなので、必ずしも輸出しなければ生き残れない訳ではない。寧ろ、生き残れないのは、TPP成立で安い農水産物が輸入されて来る方だ。農水産物輸出促進論の背景には農水省の役人が情報操作しているものと推察される。TPP成立後の農水産業に対する補助金を抑えるために輸出努力しない農水産業生産者は補助金の対象外などと規制を設ける計画と穿った見方も出来る。何故かというと、今から20年以上前の話だが、日本国内にコメ不足騒動があった時の話を思い出すからだ。コメ不足とマスコミが報道し、政府はその対応として海外からコメを輸入して事なきを得たのだが、実はこの時に日本国内にコメの絶対不足が起きてなく、九州地域などにはコメが余っていたのであることが分かったからだ。今では財政再建と言う御旗のもとに、国民を平気でだます国会議員や役人が跳梁跋扈しているが、当時は未だそこまで悪くはなかった。しかし、コメ不足を材料に冷害で農家に支給する補助金を海外からの米輸入による価格差益でねん出する考えが出てきたあたりから政治は可笑しくなった。本当に国内にコメ不足が起きたなら一石二鳥の考え方が出来るが、実際には日本国内にはコメがあったことが問題であった。マスコミなど何処も報道していない。如何にマスメディアは政府の広報に成り下がっているのかを教える教科書だ。

さて、話を元に戻すと、人口減少で需要が先細りとなるので輸出奨励がなぜ誤魔化しかは一目瞭然だろう。日本の農水産業など自給率を見ると輸出して生き残ろうなど笑止千万なのが良くわかる。これにTPPが成立したら、日本国内の農水産業などなくなってしまう。サラリーマンとして人生を送ってきた幸せな人は、安い海外の農水産物の方が生活が楽になると反論するかもしれないが、人口減少は農水産業など一次産業以外の二次産業、三次産業にも影響を及ぼすことを考えない愚かな意見だ。貿易は今でも主要通貨はドルなのを忘れた考え方だ。現行の102円の円安でも原発が稼働していないだけなのに貿易収支は赤字になっている事実だ。若い世代は貿易収支が黒字しか経験していないので、ドルがなければ海外から輸入できないことにも無頓着だ。イオンなどのスーパーは地方に大型店を出して地元の商店街を破壊し、利益がでなければ平気で撤退して地域住民の生活の迷惑を顧みない。最近のイオンは日本は飽和状態から需要減少に転ずるので、日本を見捨てて海外進出で成長戦略を描いている。今の日本人なら誰しもが企業は利潤を追求するので当然と考えるのだろうが、グローバル化が始まる前は違った考え方であった。日本人と言う意識を持ち、国民の幸せが成功戦略に結びついていたものであった。

堂々巡りの議論を避けたいので、標題で何が問題かと言うと、移民政策を採用せずして現行の経済力を維持するのは無理なのに、政府は研修制度位で誤魔化して人口減少の労働力を外国に依存しているからである。今後も移民政策を実施しないならば、人口減少の中で日本の経済力の姿をを見極めて政策立案する事が重要となる。然しながら、研修制度の拡大で誤魔化す所か、農水生産物の輸出促進を聞くにつけて縦割り行政の弊害以上に、将来を見据えた人物がいないことに怒りを感じる。何時の時代にも先を見える人物は少数だが、現代日本にはその少数さえもいない。誰も責任を取らない無責任社会の出現なのに、高度経済成長後の国民の中間階級意識80%の時代をイメージして政策を進める輩は馬鹿としか言いようがない。真面目な日本人など既に死語となっている現実を無視しては何も改善されない。インチキ研究論文を堂々と発表する日本人が出て来たのである。内需70%の経済力の国を今更輸出で経済成長とは呆れて物が言えない。

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