規制緩和と規制強化の繰り返しで損を受けるのは善良な国民だ

過去20年の規制緩和の流れで多くの新規事業や企業が生まれたのは否定しないが、規制緩和の流れに最初に水を差したのは建築業界における耐震偽装事件だった。性善説の精神で貫かれた規制緩和は、実際にはモラルなき多くの経営者の出現を招き、利用者は危険と隣り合わせの状況に置かれた。金融の世界で自己責任という言葉が普遍化されてるが、全てが自己責任というなら行政など必要がない。私自身は小企業の経営者として行政の大企業優先を見ているので、規制緩和には賛成だが、役人のシナリオの規制緩和には別な本音が見え隠れ入しているので到底全面的には賛成できない。安倍内閣が発足してからは民主党政権のインチキ改革の失敗の反動で規制強化が目に余る。国土交通省などは500円タクシー料金に対して最低料金を下回っているので値上げ勧告をするとの事だが、このことは縦割り行政の典型的な間違った発想だ。安い料金だと乗務員の報酬の低下による質の低下を招き、事故などを誘発することを懸念しての最低価格設定と主張する。しかし、本来ならば、最低料金の設定による指導ではなく、厚生労働省の管轄の労働に対する安全基準の問題だ。経営努力により低コストの運行が出来るならば利用者に利益をもたらす。500円タクシーは関西だが、関西人は小型タクシーの利用者が圧倒的の多く、タクシー会社は利用者を維持する為に500円料金で頑張っているのに水を差す行為だ。行政の仕組みの多くは縦割りであるが故の弊害が出ているので、本来は政治が正さなくてはいけないのだが、今の政治家は役人と同様の発想しかできない無能者の集まりだ。、マスメディアも本質を理解できない者が従事しており、政府の広報マンに成り下がっている。

話は逸れるが、義務教育の教科書無料配布と相まって政府の思想の押し付けが始まっていることに多くの国民が気付いていない。税金で無料化する教科書に役人どもが教科書採用に規制を設けてることは言語道断だ。採用するのは検定を受けた教科書でありながら教科書の採用に地域指定の規制をしているのは一部の出版社に対する利益幇助としか言えない。マスメディアの論調の多くは行政の方に見方をしている。だからマスメディアは情報化社会で埋没するのだ。

規制緩和の多くは不正や事故が起きて規制強化を図れることを前提にしているのではないかと言う疑いを持たざるを得ない。最近の金融機関に対する法人の口座開設に対する行政の指導は、企業の自由な活動に対する規制に他ならない。法人の普通口座開設が昔の当座預金の開設並みに強化されている。口座開設に対する審査に対する理由は金融機関によっては若干対応が違いがあるが、開設対する指導が企業の不利益をもたらしている事実は否定出来ない。小役人の責任逃れの指導が企業活動の自由を阻害しているのを気づかない安倍ミクスなど到底成功はしない。

幾ら民主党政権の反動としても最近の安倍内閣は少子高齢化社会で不毛な経済成長一辺倒の議論を行うなど時代錯誤も甚だしい。厚生労働省の労働者保護も自由な労働契約による労使に干渉するものであり、年金の支払者の減少を就労の規制強化で増加させる行為は、逆に雇用者の減少に繋がることに気づいていない馬鹿役人の典型だ。人材派遣業の規制強化など非正規雇用者を作った格差社会を反省しない部分最適政策の典型例だ。非正規雇用者の出現が年金支払いを減少させたのだ。

一事が万事とは、古人の教えだが、インチキ規制緩和と規制強化が企業の活動を阻害し、最終的には善良な国民が損をする社会にはうんざりだ。

  • entry582ツイート
  • Google+