ユーハイム主催の「ゲーテの詩の朗読コンテスト」が33回で閉幕

33年の長きにわたり開催されて来た㈱ユーハイムの"ゲーテの詩の朗読コンテスト"が今年で閉幕することになった。閉幕の理由は27年間コンテストに使用してきた千駄ヶ谷の津田塾ホールが建て替えられることになったからとのことであった。1982年に始まったコンテストは第7回から津田塾ホールを利用することになったが、1階にはユーハイムのレストランもあり、コンテストの開催には便利であったのだろう。時間軸が早くなった現在で企業の文化貢献としては異例の長さであった。

私自身のコンテストとの出合いは、不確かな記憶では、ユーハイムの河本社長ご夫妻とゴルフを通して親しくなり、コンテストの一般審査員としてチケットが送られ来るようになった第13回か14回目であったと思われる。その後は毎年チケットを頂き、用事がない限りは夫婦で参加してきた。河本さんとは家が近いこともあり、時々路上や電車のホームなどでお会いする。今回の大会前にも偶然お会いして閉幕を事前にお聞きした。確か、閉幕は来年の予定だったが、津田塾ホール側の都合で今年の第33回で閉幕を余儀なくされた様だ。企業の文化活動としては、経済バブル崩壊のデフレ不況も乗り切り、永久に開催すると宣言していただけに今回の閉幕は突然の出来事だった。

若しかしたら、開幕からコンテスト委員長として協力してきた名物の宮下慶応義塾大学名誉教授が2年前に亡くなくなったことも影響があるかもしれないと考える。本当に故宮下名誉教授のコンテスト参加者に対する洒脱な評論はコンテストが長く続いた理由の一つとも思われる。私も早すぎる逝去を惜しんだ一人である。

河本社長は東京教育大学(現筑波大学)のご出身で、聞いたところでは若い時には企業家ではなく学者を目指していたそうだ。それを一転してご尊父が経営していたユーハイムに入社したとのことだが、経理部に配属されれば税理士の資格を取得し、お菓子作りとしてはドイツに留学してマイスターの資格を取得するなど経営者として実践的で質が高い人物である。何かの雑談の時に社員教育には、ルソーの"エミール"と言う教育論を利用していると聞き、一読することを勧められた記憶がある。また、ゲーテの詩の朗読コンテストの司会は入社2年目の社員を使うなどコンテストを社員教育にも活用していたのは参考になった。

河本社長を判断する限り、ゲーテの詩の朗読コンテストは形を変えて復活するのではないかと思われて仕方がない。私としては、美味しいユーハイムのバウムクーヘンを食したり、贈答品として使ったり位しか応援が出来ないのだが、今後も復活を願って手作りバウムクーヘンを使い続ける心算である。

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