都心の大型開発で気になる地下水の問題

日経の記事にJR東海が進めているリニア工事のトンネル工事で地下水脈を断ち切り、水の流れが変わった恐れがあり、今後は生活・産業に影響が懸念されるとの記事を見て都心における地下水の流れの事が気になった。大型開発では環境アセスメントを実施して影響を調べるのだが、都心の場合にはヒートアイランド現象などが指摘されるものの、地下水に関しては工場立地の様に地下水を汲み上げる訳ではないので重要視されていないように思われる。

私が都心の地下水の事が気になったのには理由がある。今から30年近く前に都心で大型ビルを建築した時に敷地の周囲に設置した連続壁が地下水の流れを遮断して隣地のビルの地下の階で漏水が起きたことを記憶していたからだ。また、近年では、弊社が管理する都内のビルで生じている地下に併設している消防用の水槽の満水警報のことだ。都心の地下水に関しては、都内から工場が移転し、住居でも井戸水を使う事がなくなったこともあり、上昇していると言うデータもある。更に、暖冬の影響で集中豪雨などが起きており、当然に都心の地下水にも影響を与えていると思われる。

尤も、都心は道路等を含め地表がコンクリートで覆われているので、雨水の多くは下水道を通して東京湾に流れるのだが、一部は地下に流れ込むことは間違いはない。大型開発で地下水の流れが変わり、更に集中豪雨で流れ込む雨水の影響に関して東京都や国土交通省はデータを持ってるのであろうか。特に懸念されるのは大地震が東京を襲った時に使用されていない豊富な地下水の問題だ。素人ゆえの懸念かもしれないが、多くの人は地上に目を向けて地下に関しては意見が少ない様に思われる。豊富な地下水と書いたが、場所によっては水脈が絶たれ、土自体が劣化して軟弱になっている可能性もある。都心の崩落事故は何れの原因で起きたかは知らないが、地下のバランスを欠いた為に起きた現象であることは間違いない。

古より足もとを見る大切さを指摘する教訓は多いので、高層ビルや高層マンションの建築だけに目を向けるのではなく、地下で何が起きているかも認識する必要があるのではないか。リニア工事における地下水遮断問題は山中の出来事として見るのではなく、他山の石とする事が必要と思料する。

 

  • entry620ツイート
  • Google+