故遠藤光男先生のお別れ会で想起した事

弊社が共同事業で建築した虎ノ門ビルのテナントとして長く借りて頂いてる弁護士事務所の開設者のお別れ会に出席した。平成4年10月12日に当該ビルに移転して来られたので、今年で24年目になります。最初は7階フロアでしたが、その後平成12年には事務所拡張の為に2階に移転され、その後も2階で拡張されました。

開設者の方は、遠藤光男先生で、最高裁判所の判事を始め、多くの要職を歴任された方でした。最高裁の判事には当該ビルに入居頂いてからでしたので、当該ビルとしても名誉の事でした。確か、事務所に日本酒を持参してお祝い申し上げた記憶があります。最高裁判事就任と同時に事務所の運営は事務所のパートナーの高須順一先生にお任せになりました。移転時には知りませんでしたが、判事就任等から遠藤先生が法政大学ご出身で、長く法政大学の講師として後輩の育成に携わってきたことも知りました。

人の縁とは不思議なもので、私のクライアントの顧問会計士が遠藤先生を良くご存じでお仕事のお付き合いのある方でした。それが分かったのはお互いに出会ってから10年以上経ってからでした。打ち合わせに当該ビルに来られた時に入居している遠藤先生をご存じで立派な方と話されたことを覚えています。この時以来、顧問会計士に信頼を得てクライアントと良好な関係が維持できて今では資産管理の業務を委託されています。遠藤先生とは直接的な関係の事ではありませんが、世間は狭いとその時には思いました。

遠藤法律事務所が入られて数年後に経済バブルが破たんしビルの経営も賃料の大幅な下落で大変な時期がありました。当時は遠藤高須法律事務所としてお借り頂いていたのですが、法政大学に講師として両先生とも携わっていらしてたので、大学に近い所の方が便利であり、賃料の安いオフィスビルもあり、移転の懸念を持ちましたが、遠藤先生は虎ノ門の方が賃料が高いけど出身地なので維持したいとお話をお聞きし、理解した経緯もありました。建物管理を長く行っている間には多くのテナントの方と接してきました。弊社が管理するビルに対して色々な評価を頂いた結果ですが、確かに現在は生家がないが、出身地という事で借りてくれる方もいます。貸し手としては有難いテナントです。一方、偶然とかその時にその地域に階りる必要があったテナントもいます。この手のテナントは入居している建物や地域に愛着がないので、何れ退出するテナントとして管理会社としては事務的な対応に終始します。

テナントの話ですが、以前にNTTの関係会社に数フロア借りていただいたビルがあります。賃料交渉時に本社が入居している芝浦のビルに比較して弊社が管理しているビルの賃料が高いのでと引き下げ要請を受けたことがあります。その時のやり取りですが、弊社はビルの立地と固定資産税が違う事を理由に引き下げ要請を拒否したことがありました。この時に、NTTの方は立地や入居ビルの格などを考えたことがないと反論しましたので、世の中には有名企業ばかりでなく、信用を得るために高い賃料のビルに入居する会社もあることを新宿の高層ビルを例にとり教えました。固定資産税と賃料の相関関係も知らないのが驚きでしたが、NTTの前身は電電公社なのが良くわかりました。

話が逸れましたが、建物管理で嬉しいことは入居ビルを評価して使って頂けるテナントです。弊社は建物管理はサービス業と心得ていますが、多くはオーナーの代理としてオーナーの顔だけ見て管理している会社です。この様な管理会社はオーナーに結果的に不利益をあたえることを知りません。

遠藤法律事務所から遠藤・高須法律事務所、そして現在は高須・高林法律事務所として24年の長きにわたりお使いいただいることに感謝です。故遠藤先生のお別れ会は法政大学のホールで行われ、参加者は700名とのことでした。勲一等瑞宝章の受賞と最高裁判所の判事の他要職を歴任していたからか天皇陛下からの供花が目を引きました。知り合いが少ない会場を見渡したところ、件の顧問会計士をお見かけし、故遠藤先生の事で人との縁の不思議さを再度話しました。顧問会計士は何度も遠藤先生の様な温和な癒しの弁護士には後にも先にも出会ったことがないと協調されていました。合掌

 

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