政治家も官僚も企業家になった弊害③

今回のブログを読んだ方はタイトルとの整合性が取れてなく、話が飛んで分からないと指摘されそうだが、私のブログは毎度同様なのでご容赦願いたい。タイトルに関して結論的に言えば、経済が良くなければ国家の税収は増えず失業者が増えて政府や官僚が非難されるので経済に注力するのは当然だが、問題は企業家の発想で経済の再生を進めることが間違いだと指摘したいのである。日本は経済大国になって久しいのに、企業の経済活動に対して干渉しすぎる点である。最近は労働に関しても必要以上に干渉し、残業時間を少なくすれば余った時間を余暇に使い消費に繋がると言った馬鹿な政策を実施している。尤も、今回の時短に関しては、政策の本音が残業時間を少なくして余った時間を余所の会社で働いて労働力不足を補わせると共に増えない給与を補填させると言った穿った見方もしたくなる。更に、インバウンド推進の為に飲食店の全面禁煙を打ち出しているが、この政策など喫煙による罹患率を下げて医療費を低減させることも狙いとしてあり、一石二鳥どころか、一石三鳥を考えているのではないかと疑ってしまう。最近の官僚は姑息なことを考えて折角のアイデアも元の木阿弥にしてしまうことも度々見受けられる。

何れにしても政治家や官僚は企業家になるのではなく、企業活動にプラスになる税法の改正や新設、企業活動の自由を阻害する規制の撤廃、国土保全と食糧の自給率の確保、国民の生活・安全の追求など正に政治の役割を行う事だ。農林水産業が国土保全の役割を果たしていることを省みない輸出重視の政策など企業家の考えだ。九州の北部で起きた水害は正に農林の衰退による山林の脆弱さから起きている事を懸念した政治家や官僚は居るのかと言いたい。日本国土は平野が少なく大部分は急峻な地形に囲まれている。自然はその様な国土を維持するために雑木林で構成されていた。しかし、住宅政策もあり、山は成長が早い杉などが植林されて多くの雑木林を失った。それでも農林業が盛んであれば山林の手入れがなされて台風や集中豪雨などに耐えうるのであるが、昨今は営林署もなくなり、動物も生息できなくなるような荒れた山林になってしまった。その結果が山の脆弱さが露呈し、今回の様な水害被害となっている。農地も同様だ。農地があるからこそ多くの生物が生息し、自然再生のサイクルが維持されて来ているのである。農林水産業は単に国民に食糧を供給しているだけでなく、国土の保全を維持しているのである。その事を省みないで今後も優位に立てるかどうか分からない自動車の輸出の為に国土保全を捨てる政策を推進しているのである。企業家なら分かるが政治家や官僚が考えることではない。

新規に農業に参入した企業が植物工場は既存農家の様な固定資産税などで優遇されていないので不公平だと優遇税制の撤廃を求めている。先ほどの国土保全の役割を担っている農林業を分からなければ不公平に腹が立つ人も多いと思われる。しかし、国土保全の役割を行っていると言う付加価値を認めれば、その付加価値を持たない植物工場に対して優遇税制を施す意味がないことに気が付く筈だ。しかし、昨今の政治家は農業の効率化と言った話題にしか考えが及ばず間違った議論を進めている。私は農村に育ち父が県の農業委員の要職に就いていたこともあり、農業に関しては子供の頃から問題点を熟知している。農林水産業は労働集約産業であり、人手不足を機械化によって克服してきても自然や販売など多くの難しい問題を抱えているのが実情だ。然も、工業立国として農林水産業を鬼っ子扱いされてきた歴史がある。日本の国土は米国とは異なることを考慮して農業を考えないと取り返しがつかい事になる。政治家も官僚も企業家になりたいなら早く転職すべきだ。真の政治家と官僚が出現しなければ日本の再生は実現しない。

 

 

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