馬鹿のひとつ覚えの規制緩和の弊害

岡山県内の有力企業である両備グループは県内を走る赤字バス路線31路線を廃止すると発表した。理由は赤字路線をカバーしていた黒字路線に格安バス運行会社の進出によるとのことだ。2002年に道路運送法の規制緩和があり、多くの企業がバス運行に進出している。記憶に新しいが金沢~東京間の高速バスが事故を起して多くの犠牲者が出た。この時の事故では運転手一人走行距離の問題が指摘され、その後事故を契機に一人運転手の走行距離が是正された。その後も観光バスの事故で零細企業のバス会社の運転手の技能やバスの点検整備などに問題があることを指摘されている。この種の規制緩和は日本だけでなくフランスなどでも行われており、日本と同様な事故が起きている。規制緩和は自由競争の原理で利用者に利益をもたらし、国家経済的にもプラスになると言う謳い文句だが、実際は人の安全など軽視した金儲け主義の経営者が多く出現し、リスクと背中合わせの弊害も多い。この様に書くとお前は既得権の擁護者かと批判されそうだが、私が指摘したいのは規制緩和に対して守る必要があるものまで壊している事に対しての無能さを指摘したいのである。規制緩和の当事者は行き過ぎていることを百も承知で推進し、問題が生じるのを待って是正する方式を取っている。この背景には政治家不在、否無能な政治家が木を見て森を見ずの政治を行っており、官僚が配慮のないシナリオを描いているからだ。尤も、革新官僚と言われる輩は政治家以上に権力志向で従わない企業を屈服させるために規制緩和を利用する愚も犯している。また、知恵がないのでやたら外国の事例を日本に導入したい輩もいる。日本の地方を疲弊させる大きな要因となった国鉄解体も政治を持ちこんだ故の愚策だ。労働組合を解体させるために仕組んだ国鉄解体だが、国鉄に強力な組合を作らせた理由を分析すれば国鉄解体ではなく法律の改正で現在のJRと同様の企業活動が出来て国鉄の労働者の無法な組合活動を抑制できたのではないかと惜しまれる。勿論、国鉄解体は組合弱体化と言う政治的には成功したが、分割の仕方に知恵がなく、JR北海道やJR四国など経営に苦しんでいるのを見ると解体は国民の為でなく政治の為なのが分かる。話は逸れたが、岡山の両備グループは地域の企業として地域の足であるバスを赤字路線でも地方経済の為に維持してきたことは疑いもない。国は地域再生を標榜しながらコンパクトシティなど縮小均衡の弱者切り捨て政策を進めている。この縮小均衡の手法は金融機関が経営危機の企業を救済する時に使う手法で、売り上げに見合った経費まで削減するリストラ策だ。インフレの時代には有効な手法だったが、時間軸が早い今日では後ろ向きの手法は倒産に繋がるリスクの方が大きい。地方再生にコンパクトシティを発想すること自体、財政に見合った支出しか考えてはいなく、再生など遠い夢に終わる。両備グループは今回の赤字31路線廃止を規制緩和の弊害として国に訴えたい様だが、多分国は聞く耳を持たない態度だろう。新時代に対応する大義名分で国家予算を平気で無駄に使っている政治家や官僚には、赤字路線廃止はコンパクトシティを推進できる材料と思うだけだろう。今後も同様な規制緩和と称する緩和悪が起きると思われるので、国家などを期待しないで事業に取り組むことが重要だ。その為には税金も必要以上に支払う必要がない。

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