不動産投資案件のトラブルについて

不動産業界は今も昔も一攫千金を狙う人達が集まる業界なのだが、最近のトラブルは不況の出版業界の広告出版(いわゆる自主出版)で騙されて投資する事例が多い。実際は自主出版なのだが、如何にも出版会社が発行したかのような錯覚商法で書店に並んだ本が最近は多い。高成り名を遂げた中小企業の老経営者が記念に成功物語を自主出版するのは社会に迷惑を及ぼす事ではないので大いに勧めるが、投資を誘うような広告出版となれば話は違ってくる。最近、シェアハウスンの投資案件でリース料が支払えずに破たんした会社が出たが、同社の社長も広告出版で急成長している。特に、この種の出版は出版会社が用意したゴーストライターが書いているのが常識であり、一応内容は著者となる本人に確認するだろうが、裏付けなど何も取らないで上梓していると推定される。破たんした場合には社長自身は騙すつもりがなかったと言い訳するだろうが、楽観的な事業収支計画をチェックもしないで出版させた出版会社は詐欺の片棒を担いだと指摘されても仕方がない。多くの不動産の投資案件はサブリースで仕組んでいるケースが目立つ。不動産投資案件で安易にサブリースを謳う風潮は、20年以上前のバブル経済崩壊後の裁判の判例によるところが大きいと思わざるを得ない。この判例はサブリースで契約に記載した保証賃料の変更を認めたものであった。尤も、バブル経済崩壊以降は不動産業界も長期的なサブリースはリスクが高いので、多くは短期的な契約となり、更に賃借人の退去後の空白期間に対しても細かな条件を追記した内容に変わった。しかし、日本の不動産業界は不良債権処理が一段落した2005年頃からバブル経済を知らない若い経営者や既存の投資と異なる案件が出たこともあり、再びサブリースと言う言葉が宣伝文句に多く見かけるようになった。特に、非正規雇用者用の工場近くのワンルームマンションにサブリース案件が多く、その後は老朽化したビルの再生案件、更に年金や相続対策用の不動産案件と拡大していった。その分トラブルも多く見かけるようになった。弊社は長くビル・マンションの賃貸用の物件を扱って来ているのでサブリースのリスクは嫌になるほど理解している。サブリースに関しては大企業でさえ大きな経済変動では耐えられない事が証明されているので、新興企業では少しの経済変動でも支払いに問題が生じる可能性が大きい。今も同様と思うが、過去にはワンルームマンションが投資として活用され、税金面(損益通算)でも優遇されて急拡大したのだが、税制度の改正で投資家は大きな損害が生じた。不動産投資はサブリース会社との関係も重要だが、投資の背景に控える税制度も重要なので安易に長期的な投資に参入すると痛い目にあうことになる。今韓国の平昌で冬季オリンピックが開催されているが、投資もスポーツと同様に基本が大事だ。スポーツ選手は基本を繰り返し且つ自分の身体能力を考えてトレーニングを積んで一流になれるのだが、投資家も同じと心得る。情報化時代になり時間軸が早くなったのでレバレッジを利かした投資商品やリスクが高い高利回り商品も多くなったが、投資のトレーニングを積めば選択において正しい判断が出来る。

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