スルガ銀行のシェアハウス「かぼちゃの馬車」問題!!③

かぼちゃの馬車のオーナーの代理人弁護士が審査資料改竄でスルガ銀行を提訴した記事が掲載された。事業会社の破たんで購入者達は購入ローンを支払えなくなったので審査資料改竄をネタにスルガ銀行と減免交渉で行う算段かと思われるが、資金もないのに購入ローン申請を行った強欲な無責任投資家には同情しない。審査資料改竄と言っても内部規制なので、改竄で審査が通ったこと自体の責任は倫理上の問題以外には銀行に責任はないと思われる。そう言えば、バブル経済崩壊後に「金融機関の貸さない親切」の言葉が誌上に踊ったが、結果論の議論なので意味がない。投資にリスクは当然で、低利回り物件の中で高利回り物件を謳っていたら疑ってかかるのは常識だ。女性専用と言うだけで立地も考えないで購入したツケが回ってきただけだ。尤も、安倍内閣が景気対策にインフレをターゲットにした事で、少子高齢化社会にも拘わらずに不動産価値が上昇するとの幻想を抱かせたのは否めないので本当に罪作りな政権だ。スルガ銀行も昨今の投資が5年目安に動いていることを念頭に資金力のない借り手に対して融資したと推定できるが、5年後の転売前に事業運営会社が破たんするとは予想もしなかったと思われる。先に書いた内容で、「かぼちゃの馬車」は相続対策ではなく、投資案件と書いたが、この分析を訂正したい。理由は、「かぼちゃの馬車」のシャエハウスは立地が良くなく、売買価格と相続評価額に対して乖離している商品の様だからだ。以前に高層マンションで指摘した通り、売買金額と相続税評価額が大きく異なる商品は相続税対策にはなるが、真の価値を積算した場合に将来的な修繕費等の面や貸した場合の賃料面で売買金額と比較して低くなる傾向が顕著だ。国税庁の相続税強化が合法的な不動産詐欺に利用されている面がある。その意味では、「かぼちゃの馬車」は相続対策にも有効で、然もサブリースの高利回りの商品なので購入者が多かったのだろう。この様に饒舌に的を絞った書き方が出来ないのが私の特徴なのでご容赦願うが、本来不動産投資は長期的な所有で利益を生むにも拘らず、税制的に長期所有となる5年間の短期売買と相続対策を優先する考え方がリスクを軽視していることは間違いない。金融機関もリスクを取らなければ稼げない時代だが、事業会社の経営者の質やビジネスモデルを見分ける力がないのでは話にならない。情報化の時代なので過去と比べてインチキには騙されない筈だが、新しい時代を迎えたので過去の経験は役に立たないと言った風潮が今回の事件の背景にはあると思われる。詐欺事件も先祖がえりしているのも頷ける。くわばらくわばら。

スルガ銀行のシェアハウス「かぼちゃの馬車」問題!!②

金融機関はメガも地方も設備投資案件が少なく、現在は専ら相続対策案件融資が主流になっている。女性専用シェアハウスは相続対策と言うよりは資産作りの商品として企画されたと推定されるが、問題は事業運営会社の予想を超えた購入希望者が殺到した(?)為に、入居率などを無視して拡大路線に突き進んだことも破たんの一因と思われる。卵が先か鶏が先かの議論になるが、スルガ銀行が女性専用のシェアハウス融資に積極的に取り組んだ結果が業績の急拡大を誘引し、事業運営会社も嬉しい誤算が続いたとも考えられる。尤も、高利回りのサブリース商品ならば購入希望者も多いと推定されるが、なぜ高利回りが実現できるかを分析すれば、事業運営会社の破たんによる被害者に成らなかった筈だ。スルガ銀行の融資には米国のサブプライムローンと同様に購入者の調査資料が改竄されて融資が実行されたとの報道もあるが、この様な状況は資産インフレ時には起きることであり、資産処分を前提にした融資の特徴だ。しかし、現在の日本は立地場所に関係がない一様の不動産の値上がりなど期待することは出来ないので、何の根拠で無謀な融資に走ったのかだ。米国のサブプライムローンは長い間、資産上昇がなかった為に急激に起きた資産インフレを過信して過っての日本の様に破たんした不動産ローンは売却で貸付金を回収できると突き進んだ結果がリーマンショックを引き起こした。同様に、スルガ銀行の「かぼちゃの馬車」融資事件は資産デフレが続き、融資も保証協会の経験しか有していない世代が最近のインカムゲインよりキャピタルゲインを重視する風潮に踊った姿が浮かび上がる。特に、サブリースの支払いに関しては20年以上前の経済バブル崩壊後にサブリース裁判によって支払金額の変更が認められたこともあり、完全に保証された制度でもない。勿論、サブリースは経済バブル崩壊後にもアパート・マンションなどでは新築5年を目途にサブリース会社の有利なシステムで復活し、バブル経済時代の不良債権処理後にはオフォスビルなどにもサブリースが目立つようになった。サブリースが成立するのには高い入居率と賃借料の差額が必要であり、オフィスビルなどには適さないビジネスモデルと考えられていたが、資産デフレが続いて世代交代も起き、且つ金融業界も低収益に陥った中での日銀の金融緩和政策により、不動産投資に誰もが目を向けた結果、偽物と本物の区別が付かなくなった。否、デジタル経済で時間軸が早くなったにも拘わらず、長期的な考えが必要な不動産投資に関して無責任になったと言うべき現象が起きたと考えられる。

(続く)

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