日産のゴーン問題

日産自動車の会長であるゴーン氏が金融商品取引法等の不正で逮捕された事件が世間を賑わしてるが、今回の問題は日産の救世主と持て囃した日本のメディアなども一因として上げられる。何故ならば、日産の急激な業績の回復は自動車販売の増加ではなく、資産リストラと日産を食い物にしていた古参の社員・OBの排除であったからだ。私が断定的にその事を言えるのは、三つの出来事からである。一つは、不動産ファンドのアドバイザリーに就いて日産の子会社の管理する不動産の売買に何度か立ち会った時の事である。都内の売却物件のデューデリジェンス(DD)の時に、築5年位しか経ていない建物の屋上を見た時に防水修繕工事を行っている異常さに先ずは驚いた。精査すると何も問題が起きていないのに行った修繕工事なのを理解した。日産所有の売却物件を数棟見たが、何れも不可思議な修繕物件ばかりで、本社の担当か管理子会社の社員の指示かは知らないが、建築工事で利権が横行していたのは事実であった。二つ目は、高校の後輩が経営していたIT関係の会社に日産自動車の子会社の役員をしていた人物が常務取締役についており、その役員と独身社員社宅用ワンルームマンション20室の賃貸借契約を進めた時の事だ。物件は勝鬨橋近くにあり、内見を午前10時30分に設定して貸主側管理会社と私と借主のIT会社の総務担当とが時間通りに到着していた。しかし、IT会社の担当役員の常務が到着したのは待ち合わせ時間の1時間後であり、遅れてきた第一声が来るときの電車で知り合いにあって話し込んだとのことで、遅刻に対する詫びの一つも出なかったのである。しかし、物件は気に入った様であり、借りるので抑えてくれとの言葉があったので、時期的に申し込みを入れないで抑えるのは難しかったが、貸主側の三井系の管理会社では、三井銀行系の室町不動産会社に勤務していた銀行出身のOBの紹介だったので、私を信用して20室を抑えてくれたのである。この結末は書かないでも分かると思うが、賃借は社長が賃料が高いと言ってダメになったとの一言でキャンセルになった。私は道義的な責任を感じて貸主の管理会社にペナルティとして100万円の身銭を切ったのである。三つ目は、高校の同窓会の時に同窓が話したことである。同窓の子息は20代半ばで自動車の購入に日産の販売店を訪問した時のことである。20代の若者が購入するには価格的に高いと思われる車の性能や仕様を店内の販売員に聞いた時に、どうせ購入しないだろうとの態度で説明もしてくれなかったそうだ。子息は日産自動車が好きだったが、仕方なくトヨタの販売会社に行って同じように高級車について性能などの説明を求めたそうだ。その時にトヨタの販売員は丁寧に説明してくれたそうだ。この為、子息は俺はこの車を購入する金がないかもしれないよと試しに言ったら、その販売員は将来のお客様になって頂ければ良いですのでと答えてくれたそうだ。子息は感激して即座に購入したとのであった。確かに、日産自動車は労使一体となって経営をしてきたが、何時の間にか経営と言う感覚がなくなり、無責任な会社になっていた。しかし、技術には優れたものがあり、資産も相当あったので、悪習を無くせば再生できる内容ではあった。しかし、内部からでは出来ないので黒船であるゴーンを招聘して改革を断行できたのである。ゴーンは日産の社長になり最初は驚いたと思われる。この会社が何故不振に陥っているのかと。彼の感覚からすれば再生しやすい会社と映った筈だ。それが、ゴーンに植民地意識を芽生えさせて今回の不正に陥ったのと推測できる。ゴーンを誤らせたのは、救世主の如く持て囃した日本のメディアであり、大衆だ。本当に罪作りな事をしたと思われる。

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