友人の会社のナスダック上場を祝して

師走に高校の同窓でもあり、業界の取引先でもある香陵住販株式会社の薄井社長がアポなしで来社した。近くに用事があり時間が早かったので立ち寄ってくれた様だ。彼は1981年に故郷の水戸市で不動産会社を起して今年で37年だが、念願かなって9月にジャスダックに上場を果たした。薄井社長は大学卒業後にマンション販売の大手であった大京に入社し、トップ営業マンとして活躍し、その後地元の茨城県で不動産会社を立ち上げた。高校時代は彼は柔道部、私は応援指団、大学受験で彼は文系、私は理系とそれぞれ歩む道は違っていたが、私が家業を継いだこともあり、30代になり同業者として付き合いが始まった。彼の特徴は業界流行のゴルフを遣らず、日本茶を飲み、冬にコートを着ないことであった。しかし、ゴルフに関しては聞き忘れたが、コーヒーを飲み、コートも着る様になった。年を取って丸みを帯びたそうだ。誠実な人柄が茨城県ナンバーワンの不動産会社を作り上げたことは確かだ。上場しても何ら変わることがなく、驚くことに会社に親族を入れていない。子息を後継者に育てないのかと聞くと親族は扱いが難しいと一言だけ。私が執拗に他人の後継者に会社を潰されたら悔しいだろうと水を向けると、更に仕方がないの一言。達観した生き方には脱帽だ。経済の大変動の中で企業を成長させて上場にまで漕ぎ着けた友人の苦労は計り知れないが、30代に再会した時と何ら変わっていない。彼の会社も顧客に投資案件を販売しているので、スルカ銀行絡みの投資案件に話を向けると、嘘を付いてはダメだと強調し、更に不動産を知らない人達が業界に多すぎると嘆いていた。大学卒業後に不動産業界に入り、40年以上も業界を見てきた人の言葉だけに重みがある。昔から不動産業界には一攫千金を狙った連中が多く、詐欺的な事件も多いが、今の様に表面だけで仕事が出来る業界ではなかった。何時の時からか、知ったかぶりの連中が業界に多くなり、更に金融機関の質も下がり、スルガ銀行の様な事件が増えてきた。私も不動産開発を通して言葉の重みを嫌と言う程体験してきた。中身のないプレゼンテーションなど出来ない世代だ。地道に不動産会社を経営してきた友人の上場は社会からのご褒美なのだろう。会社経営の重みを知った人の言葉はベンチャー企業で安易に起業した連中の何倍もの価値がある。

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