不動産狂想曲

某誌の8月号には上場企業の新興不動産業会社を取り上げた記事が掲載されており、内容は企業の財務を分析したものであった。スルガ銀行のシェアハウスに係る問題融資に端を発してレオパレス、大和ハウスなど借り上げ方式のマンションを扱っている会社の施工不良に続き、不動産会社の滞留在庫にメスが入れられてきている。東京オリンピック開催を材料にした不動産の価格上昇はミニバブル現象を引き起こして来ており、今やフラット35と言う低金利住宅ローンの搾取事件にまで及んで来ている。上記の新興不動産会社の財務分析によれば、各社は仕入れた土地建物や建築した建物の売却が進まずに滞留在庫は1社あたり数百億円規模と言われ、このままでは各社とも資金繰りに窮することになると警鐘を鳴らしている。滞留在庫の資金は金融機関からの借り入れと社債の発行だが、金融機関は実情を把握しており、現在以上の融資追加には慎重になっており、今後の資金繰りには増資や社債の発行と見られるが、これに関しても簡単には行かないと見られている。滞留在庫を処分するには損失を覚悟しなければならないが、バブル経済崩壊後には損失隠しの金融商品があったが、今回はどの様な手品で苦境を脱するのか興味深い。翻って、東京都の港区虎ノ門エリアは大規模開発が進められており、その中でも日比谷線虎ノ門駅に直結する虎ノ門ステーションビルの開発、更には虎ノ門・麻布台プロジェクトであり、同プロジェクトは東京メトロ日比谷線神谷町駅と同南北線六本木一丁目駅を地下で結ぶ此れまでになく圧倒的にスケールが大きい。この様な報道や現地の動きを見ていると、日本人の気質から冷静に状況判断を期待しても無理かなと思われる。札幌に大きな寺院を運営する知人の年賀状に正しいと言う字は一度止まって考えると書いてあったことを思い出した。漢字と言うのは流石に英語などと違って含蓄があると思う。グローバル社会になって英語の重要性が認識されている反面、漢字に関しては等閑にされている感があるが、思慮深く考えるには東洋の知も重要だ。

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