AI婚活に思う

政府がAI婚活に予算をつける記事を見た。若い人の結婚を促すためにAIで相性を診断させると言う試みだ。コンピューターによる相性診断は以前から行われているが、今回はAIを使うことでより相性の度合いが明確になると言うのであろうか。相性と言っても人は年齢と共に考え方も変わる可能性があり、何をもって長い人生を保証するのか分からない。特に、AIの機能は深層学習なる数学の世界なのでデータが必要なのだが、結婚した夫婦で離婚せずに一生を共に過ごした夫婦の顔写真でも映像データ化するのか婚活にAIを導入する意味が分からない。昭和の時代には世話好きの人による紹介のお見合い結婚が多かったが、その世話好きの中には保険のおばちゃんが居た。今の様な情報化の時代ではないので、お昼になると保険のおばちゃんが生命保険の勧誘に来た。生命保険に加入すると長い付き合いになることから、保険のおばちゃんは一石二鳥の結婚相手の紹介を積極的に行ってきた。私は若いころに酒とギャンブルばかりしていたので、保険のおばちゃんが心配して私から給料日に5千円を持って行って銀行の積立口座を作って来てくれた。他人の口座を簡単に作れる時代も個人情報の保護の今となっては懐かしい。私は今でも個人情報など大事にしていない。別に知られても有名人ではないので利用される心配もない。経済活性化の為に規制緩和が叫ばれ、金融業界などは互いの参入障壁がなくなったが、この緩和の中で不正行為も同時に頻発したので、その不正に対する罰則や保護の面が強化された。個人情報の保護の次にはパワハラ、セクハラも問題化し、今や部下などに叱責も出来ない状況となり、女性社員などには冗談も言えない環境になっている。昭和時代を10代から30代半ばまで過ごした私にとっては、今の社会は息苦しいの一言だ。今の社会で思い出したのは、豊かさがもたらす人間の醜さだ。不動産開発を通して多くの家族を見てきたが、お金持ちの家族ほど兄弟姉妹の中が悪いと言う事実だ。逆に貧乏な家族ほど仲が良い。そう言えば、米国人が中国大地を題材にした本では、父親の臨終の前で兄弟姉妹が揉める話があったことを思い出した。日本は経済大国になり昔と比較できない豊かさがあるが、その分失ったものも多い。結婚できない若者が多いのは共稼ぎでないと豊かな生活が出来ない現実もあることを忘れてはならない。若者が結婚しないのはAI相性で片付く問題ではないのである。社会の豊かさと同時に失ったものに起因するのである。AI婚活は笑止。

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