今回のインフレ現象と45年前の経験が有効か

米中対立、パンデミック、ロシアのウクライナ侵略の結果、経済のグローバル化は見直しを迫られており、物流コスト高、資源エネルギーコスト高などにより日本経済も長きにわたったデフレ経済からインフレ経済に転じようとしています。この間、中間層が減少し、高額所得者層と低所得者層の二極化が進みました。更に、少子高齢化社会に移行し、少子化は加速度的に進んでいます。この様な社会状況下で急激なインフレは日本社会にどの様な影響を及ぼすかを判断するのは重要と言えます。現役世代が定年延長で70歳くらいまでになっていますが、インフレ経済(バブル期を除く)を体験的に知っているのは65才以上であり、特にオイルショックを経験し、急激なインフレと不況によるスタフグレーションを社会人として経験している世代は70才以上となります。日銀はインフレを容認する構えをみせていますが、インフレやデフレの開始時期は緩やかに始まるのではなく、急激に起きて一定段階までは止まりませんので、日銀がインフレ抑制の為に金利を上げるタイミングを間違う可能性は高いと推測します。現時点では、商品価格の値上げが始まっており、予測では5~15%の物価上昇が見込まれています。しかし、値上げは値上げの悪循環が起きますので、今後は物流コストの上昇も相俟って更に物価の上昇が起きると思われます。日本の経営者は50才台が主流になっていますので未経験な今後の状況に素早く対応が出来るかどうかが危ぶまれます。インフレは物価情報ばかりでなく、現金の価値が下がることを意味しますので、インフレヘッジにはお金を物に変える必要が出てきます。過去のインフレ時の様な何でも不動産に投資すれば良いかは少子高齢化社会では出口の問題もあり悩ましい所です。尤も、日本の不動産に投資しているのは過去と違い海外勢がウエイトを占めてきており、香港、台湾からの投資は今後増大することが見込まれますので、海外勢が気に入る物件を購入すれば出口も見えて来ると推測します。ウクライナ戦争以前から地域の紛争の影響から金の価格が既に上昇して来ており、新冷戦の状況が生まれれば持ち運びが便利なダイヤモンドの貴金属も需要が高まると思われます。過去のオイルショック時代と大きく異なるのはリーマンショックなどで各国が財政出動してばら撒いた資金が世界中にフローしており、実体経済と大きく乖離した過剰のドルが存在していることです。供給が不足すればその解消に投資資金が動きますので、供給不足による物価上昇が長期化することはないとも考えられます。この為、日本国内で急激なインフレが生じ、景況が悪いためにスタフグレーションに陥っても中期的には解消される可能性があります。この為、不動産投資などに関しては売買のタイミングを見る必要があります。特にインフレ抑制には金利を上げる事しか方法がありませんので、借入金に関してもキャッシュフローのある投資が必要になります。この為、時間が掛かる開発の投資には要注意かもしれません。

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