構造設計士制度と問題点

構造偽装事件の結果、国土交通省の責任逃れとして建築士の資格関係が強化されたが、構造設計士制度もその一つである。建築士の業務を分かりやすく専従業務別に「建築設計士」、「構造設計士」、「建築設備設計士」に位置づけたのは評価できるが、これで構造偽装様な事件を防げるかどうかは各資格者に対して発注者がどの様な評価を行なうかである。私のblogで執拗に行政側の責任転化と天下り先の確保のために建築士の資格者に対する研修制度の実施など断行されたことを書いて来た。当社の業務の一つに設計業務があるので、構造偽装事件を機に設計に対する感心と重要性、更には業務委託フィーの適正な支払いに帰結すれば言う事はないが、日本社会における建築設計業務に対する報酬に関しては必ずしも適正な評価に繋がらない。寧ろ、プロジェクト費用の中で節減対象となり安いのである。特に、構造設計業務の設計士に対する委託費は仕事の割には低コストを強いられてきたのが現実である。今回の構造設計士の位置づけが報酬の適正なアップに繋がるならば一定の評価するが、実務者として見る限り発注者側が設計業務に対する価値観が変わらない限りは何等変わらないと思えてならない。行政と建築士協会の利益が一致して改定された制度と思うが、民間の審査会社に対する目に見える改革が行なわれていないので、近い将来に色々な問題点が起きる可能性が危惧される。

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