トランプ米国大統領候補に対する狙撃事件が意味するもの

歴史は些細な事で大事件に繋がることがある。第一次世界大戦はオーストリアの皇太子の暗殺事件から勃発したが、事件の経緯を書いた過去の書物を読んだ時に偶然を超えた何かしらの力が働いたとしか思えないことに衝撃を受けた。今回のトランプ大統領候補は間一髪で難を逃れたが、それは原稿を見るために顔を動かしたことであった。真実かどうかは不明だが、バイデン大統領がトランプ氏に電話かを掛けた時に顔を動かした理由を尋ねた所、原稿に目を向けたと答えたそうだ。バイデンの大統領選挙からの撤退は間違いなく、トランプ氏が狙撃事件で難を逃れたことに運命的なものを感じた為であると推定される。問題はトランプ氏が大統領に選出された時に世界がどの様に動くのかだと思われる。トランプ氏は間違いなく、グローバル経済を否定する人物だ。歴史は温暖化や人口増大など地球にマイナスに作用している問題は根底にはグローバル経済から発生しているのは間違いがない。トランプ氏に運命の女神がほほ笑んだとしたら、世界としては擬人的に言えばグローバル経済を止める意思表示と言える。米国は伝統的に建国以来アジア重視であり、大陸派と沿海派に分かれている。米中対立が続く限り日本は米国に取っては戦略上重要な国となる。第二次世界大戦後の世界では米国は常にロシア(旧ソ連)と中国の乖離を画策してきたが、ソ連崩壊後のロシアと経済成長率著しい中国に対してはグローバル経済に組み込んだ両国を脅威と見做さないできた。現在はそのことが仇になってロシアと中国が接近しているので、米国にとっては世界をコントロールする上で過去のの脅威が蘇っている。バイデン大統領は両国を敵に回したが、トランプ氏が大統領に成れば、ロシアを囲い込んで中国を孤立化させる伝統的な戦略に戻ると推定される。米国を長期的に考えるとトランプ大統領候補の副大統領候補になったバンス氏の存在だ。面白いことにバンス氏を支援しているのはIT企業の起業家である。バンス氏の書いた著作「ヒルビリー・エレジー」も読んだが、正にグローバル経済を批判したもので自伝的な本だ。海兵隊に入ってから人生を変えた典型的な事例と思われる。最終学歴はイェール大学ロースクールなので、出版で得た資本を本にベンチャーキャピタルとしての活動がIT起業家の支援を得られているので、IT起業家の人達特有の独善的なものを持っていると思料される。トランプ後の大統領候補に出て来ることは確かですので、独裁色を強める政治家になる可能性があり、世界的には民主国家が後退する可能性がある。今後の世界を考える上で平和か戦争かと見れば、各地で紛争が起きる可能性が高いかもしれない。何れにしても世界はグローバル経済を阻止する動きになる事は間違いがないし、バンス時代になれば米国は強権国家になるかもしれない。ここに中国とインドが覇権国家として存在してくる可能性があり、日本は難しい選択を迫られると思われる。

都知事選前後の報道で分かったメディアの衰退と期待できる技術

都知事選前後に異常なくらいにメディアの寵児になった中身のない石丸伸二氏と民主主義の選挙を変えるかもしれない双方向のgithubによる政策提案を行った安野貴博氏に対するメディアの取り上げ方を見てメディアの今後の衰退を見る思いがした。メディアから泡沫候補とされた安野貴博氏はそれでも5位に入ったのが都民の救いになった。選挙に出る場合の注目度は過去に選挙に関わったかどうかで取り扱いが違うのだろう。メディア自体が社会に変革を要求しているのに自分たちの世界は変えない姿勢と言う冴えない話だ。安野氏の経歴を見た場合に彼が都知事選に何故出たのかに興味を持たなかったのかと不思議だ。メディアの政治部に所属すると未来が見えなくなる部門なのだろう。政治部が古色蒼然としていたのでは最先端の技術を駆使している候補に目が行く訳がない。それにしても安野氏とは面白い人物である。正に実務の人と言っても過言ではない。一方の石丸氏は金融機関に身を置き米国に行ったが学んできたのは中身がなくてSNSを使えば大統領に成れると言う間違った経験だ。トランプ前大統領はビジネスマンとして多くのプロジェクトを行ってきた実務家だ。単に中身がなくてSNSで寵児になった人物ではない。石丸氏が大学卒業後に選択した金融マンの職業が事業とは程遠い仕事であることが中身のない人物に仕上げたので、早く間違いに気が付かないと年齢的に手遅れになる。それにしても安野氏は大手のコンサル会社に入ったので、事業に対する取り組み方を習ったのだろう。事業の立ち上げのセンスには驚くほかない。多才なうえに学ぶ姿勢もあるので、今後の成長が期待できる。都知事選に出たのは未来の民主主義の有り方を探るものであったならば政策の発表の場を双方向のWEBにおいて選挙民に政治能力や政策能力を見極める場を早く作ってもらいたい。議会を通してのものは泥棒に番をさせるものなので、政治家になる為にはそのシステムを使わないと当選できない様にして政治から政治屋を一掃させてほしい。もっとも、AIに答えさせる偽物も出現するかもしれないので、それを防ぐ技術も必要だ。

政治家の素質とは

東京都の都知事選挙で前広島県安芸高田市市長の石丸伸二氏が予想外の2位になり耳目を集めているが、同時期に石丸氏が辞職して行われた安芸高田市長選挙も行われ、石丸氏の後継候補が敗れた。石丸氏の安芸高田市長時代の市議会との一方的な対立を見る限り、間違っても都知事にならせる人でなかった人物であることが分かる。自治体の長になり首長として選挙民の為になる人物とは如何なる者かが偶然に仕事の関係で訪れた茨城県猿島郡境町でお会いした人物で知ることになった。その人物とは境町町長の橋本正裕氏である。橋本町長は大学卒業後に市職員として働き、更に市議会議員として活躍し、その後に町長になった人だ。35才に町議会議長になり、全国最年少の市町村議会議長であった。実は私の父親は50年以上前になるが39歳で村議会議長になり、全国市町村議会の最年少議長であったので、それより4歳以上も若くして議長になったのは出色と思われる。議長職は政治家として有能なのは当然だが、一般的には当選回数を重ねた長老議員が就くものだ。父も当選2回の任期中に議長になったので、当時としては際立って若く、他の議長は父の親世代が多かったことを聞いた記憶がある。父の話だと議長仲間は殆んどが市町村長、県議会議員、国会議員になったそうだ。父は保守的な茨城県で敢えて革新の道を歩み、選挙民にお願いしますとは言わない政治家であったので、県議会議員の選挙で敗れてからは若くして政治を引退した。父は母に対し自分の金を使って選挙し、地域を良くするのに何で頭を下げるんだと怒鳴っていた。母はからすれば頭を下げれば票が入るのにと思っていたのだが、父は頑として母の言葉を受け入れなかった。子供の時には私も母の考えと同じだったが、父の年齢以上の年となった今では父のことを理解できる。話が横に逸れてしまったが、境町の橋本町長は町役場の職員を味方につけ、市議会も多数の支持者を持ち、更に有権者にも賛同を得て町の為に政策の実現を図っている。橋本町長の祖父が境町の町長に就いているので、町の発展を実現する政策を可能にする術を幼児の頃から学んでいるのかもしれない。それに比べて石丸氏は良い政策を打ち出せば簡単に賛同を得られると勘違いしている様だ。社会はそれほど単純ではないので、自分の思いを実現するには多くの人から賛同を得る必要がある。独りよがりではダメなのは私も自分の父から学んでいる。境町を視察して鉄道の駅を持たないのに平成の合併に加わらずに独自の政策で町を発展させている橋本町長を見ると明治維新を遂げて日本を近代国家にした人達と二重写しになる。我が故郷の茨城県にこの様な人物がいたかと感嘆した。なお、視察の同伴した会社の社外取締役の方に橋本町長が町長選挙で無投票にならないのが不思議と言ったら茨城県人だからだろうと答えた。この方は静岡県のご出身だが、茨城県人の気質を良く知っていると苦笑した。

円安について思うこと

アベノミクスで意図的に円安誘導をする為にインフレ経済を目指して日銀の異次元緩和進めたが、今回の円安は色々と諸説はあるものの、グローバル経済が引き起こした円安とは違うような気がする。勿論、米国との金利差も円安要因ではあるが、現在の円安150円台は39年前のG5で決めたドル安誘導時の円高水準である。現在と39年前との大きな違いは、国内にあった多くの工場の海外移転と農産物の自給率の低下、更に国鉄の民営化により地方の経済の衰退を考えると全く別な次元の円安であろう。当然に戦前の円安などとの比較は政治的地政学的な状況が似ていても似て非なるものなので無意味と言える。歴史は繰り返すが全く同じ様に繰り返すわけではない。円安を考える上で米中の覇権争い、ロシアのウクライナ戦争によるロシアとEUの対立を考える必要がある。米国のアジア戦略の歴史を読むと、当然に今の日本は中国とロシアに対する防波堤の存在である。円安が更に進んだ場合には国内に工場が戻るのか、農産物の自給率が高まるのかである。米国はかっての栄光の時代の様に国内に製造力はない。その為に米中対立以降は国内に製造工場を造らせている。しかし、米中対立で米国も国内に製造を戻す計画を進めているが簡単ではない。勿論、少子高齢化の日本でも簡単ではないが、AIやロボットの活用などにより過去とは違った形で国内還流は実現するかもしれない。国内の農業でも家畜の飼料となる農産物を試験的に栽培しており、円安で輸入農産物が高くなると採算価格となる可能がある。戦後の経済発展は官民の共同で行われてきたが、現在は官の方は革新性に乏しく、民の足を引っ張っている存在だ。理由は簡単だ。国家より自分の生活を優先した人物しか官に就いていないからだ。子供時代から塾に通って進学校に入ることで官僚になったのだろうが、そこにはエゴの世界しか存在しない。官の仕事は自己犠牲でもある。更に言えば、親の負担で学校に入れたので、親以上の国家観は持っていない。良く財務官僚が非難されるが、経済面では経済産業省の方が最悪だ。話は大分逸れてしまったが、今回の円安は過去の円安とは違って米中対立、ロシアと欧州の軋轢などを背景に起きているので、地政学的に読み解かないと誤るかもしれない。

自動車会社の型式指定(認証)の問題について

自動車会社の型式指定の不正(?)の報道が続いている。最近ではトヨタが型式指定の不正報道で大騒ぎだ。型式指定は大量生産に対する安全チェックの省略化を目的とした制度と言われている。型式指定の不正を免れる自動車会社が居ない事に疑問を持たざるを得ない。トヨタの場合は多くの不正が事前設定値より厳しく扱ったものであるが、それでも設定値の違いとなり不正になるらしい。紋切り型の対応には釈然としない。もう一つはエンジンの数値の不正で、これに関しては言い訳が出来ない様だ。しかし、設計の自動化のシミュレーションの導入で設計上においては正しいものの、ハードの制作現場ではその数値を実現できないと言うソフト重視の問題があった様だ。日本のモノ作りが時代遅れでハードではなくソフト重視が言われて久しいが、ハードがソフトについて行けない問題を指摘したものはない。ハードを効率的に使うソフトの技術は否定しないが、ソフトでシミュレーションしたものでも成果が出ないモノもあると思われる。型式認証で思い出されるのは三菱重工業のジェット機が米国の型式認証が取れずに最後には断念したことが思い出される。ジェット機なので自動車と比較して数段厳しいのであろうが、日本にその認証する技術力がなくて世界に売る為には米国の型式認証を取る必要があるのは仕方がないが、中国などは米国の型式認証を取らずにジェット機を製造し、発展途上国に販売している。ロシアやその他の反米国は同様であろう。自動車も過去には輸出など出来ない時代は薄っぺらのボディでも型式認証が取れたと思われる。それが民間の自動車開発に対応できない国の型式認証を扱う部門が不正摘発を金科玉条にして権威を振り回すと自動車産業がつぶれる。グローバルの時代だから日本で型式認証を取らずに米国の型式認証を取ればよい位の発想があっても良い。米国はリアリズムの国だから細かい部分の型式認証の代わりに製造工程で問題があって自動車が事故を起こした場合には多額の賠償金を課される。科学技術が高度化した現代においてはチェックしきれないので、自助努力の製造責任による賠償責任で解決すれば良いと思われる。日本の官僚は柔軟性がなく、一度手にした権力を手ばなさないので最悪だ。民主主義とは自己責任の事だ。日本の衰退はバカな政治家と官僚に帰結する。

M・グリーンのアメリカのアジア戦略史を読んで

米国の建国以来240年のアジアに対する戦略について書かれた歴史を読んで目から鱗が落ちたようだ。江戸時代のペリー来航以降の米国のアジア戦略が分かり、特に日露戦争のおける米国のローズベルト大統領が巷間で言われている様な小村寿太郎とハーバート大学の同窓の親近感から日本を支援した話とは違った事が分かり、新たな視点を得ることになった。日本は国際政治に情緒的な友情などの観点から見るが、米国は冷徹な国益から判断していることが良く分かる。レーガンと中曽根、小泉とブッシュ更にトランプと安倍の個人的な親しさから日本は国際政治に関して説明されることが多いが、その親しさの背景には米国の国益が厳然としてあると言う事実を指摘した日本人は皆無だ。米国の大統領としてローズベルトが二人おり、親戚なので理解することがややこしいが、第二次世界大戦時のローズベルト大統領が日本の千島列島をソ連に売り渡した事実は私も良く知らなかった。勿論、戦争終結前に死んだので共産国のソ連がその後の冷戦の主体になる事を想定できなかったのだろうが、それ以上に日本に対する嫌悪感が大きかった様だ。もっとも、ローズベルト大統領が日本との戦争を望んで仕掛けたという説はアジア戦略史を読む限り必ずしも当たっていなく、米国と日本の無理解が戦争に到ったと見なされている。アジア太平洋の覇権を争った日本と米国は現在の中国と米国に置き換えられる。しかし、米国国内の世論が過去の様な民主主義を守ることで一致していない現代において権威主義国との争いが米国民の支持が得られるかは不明だが、少なくとも米中対立が続く限り日本は米国の貴重な同盟国の存在ではあり続けると思われる。問題はヒットラーの様な民族の保護を理由に他国に侵略しているロシアの存在や核武装した北朝鮮との関係が今後の北東アジアに何をもたらすかだと思われる。過去の植民地時代と異なり、現代はグローバル経済であるために国際政治は複雑になっている。中国とロシアの脅威が増しているので日本が軍備を強化するのは当然であり、戦後の平和の時代が終焉した事だけは意識を持つ必要がある。円安は一時的にはエネルギー価格や農産物の輸入で物価高などを招くが、権威主義国と民主主義国の争いの長期化の中では生産工場が国内に戻ることや食糧の自給率のアップになることは予想される。少子化はグローバル経済で仕事を得るのは厳しくなった社会が背景にあるので、生産工場が国内に戻れば少子化が止まり反転することも期待できる。インドネシアが仲間に加わるかは分からないが、少なくても韓国、台湾、フィリピンとの同盟を日本は推進し、大陸国家の太平洋への進出を止める勢力になるべきと思料する。遠いかもしれないが英国や欧州の国家とも連携を深めて民主主義国家を守る事は重要だ。米国に依存しすぎると裏切られるリスクもある。要注意だ。米国の240年のアジア戦略史はそれを語ってる。

マッカーサーの伝記を読んで

マッカーサーに関しては余りにも有名人で色々な書物に言及されているので断片的な知識は豊富だが、人物の生い立ちなどに関しては今回の伝記を読むまで良く知らなかった。過去に多くの人がマッカーサーについて書いているので色々な説が存在しているが、私が手にした伝記は良い面と悪い面の両方を描き出したのが特徴な様だ。父親は立派な軍人で有り、息子のマッカーサーも陸軍士官学校を首席で卒業し、陸軍士官学校の校長や父親が成し得なかった陸軍参謀総長にまで登りつめており、太平洋戦争前までは父親と同様にフィリピンにおいて責任ある立場に就いた。驚いたのは米国の大統領になったアイゼンハワーなど米国陸軍の鬼才達が皆部下であったことだ。チャーチルの伝記でも第一線に立つ姿が書かれていたが、マッカーサーも若き頃から第一線に立つ勇敢さがあり、上に立つ者の共通点が見られる。なお、日本の軍人に就いて書かれた本にも戦闘の時に前に進んだ方が後方に位置した人と比べて敵弾に当たらなかったことに触れていた。勇敢さが運を呼び込むことを無意識に理解していたのかもしれない。マッカーサーが一般的な軍人とは異なり、戦争時に住民を巻き込む様なことを行わなかった様だ。都市の爆撃などには反対であり、マッカーサーであればニミッツが行った様な日本の都市部の爆撃は行わなかったのではないかと指摘されていた。米国では陸軍と海軍との違いがあり、陸軍は騎兵隊から出来た通り、国内の治安を守るために作られた性格が強いが、海軍は国外の相手を対象に発足している面が強く、その面では海軍の方が侵略的な考え方の軍人が多い様だ。太平洋戦争時のローズベルト大統領は海軍好みであり、好戦的な持ち主であった。その点、マッカサーにはフィリピンを統治する責任者であったが、陸軍出身者として基本的には人道的な面を持っていた様だ。日本の敗戦後の占領軍のトップとしてマッカサーを迎えたことは幸運であったかもしれない。勿論、人間の性格は複雑なので単純に人道的とは言えない面もあり、それがフィリピンにおける敗戦前の日本軍の指揮官であった山下大将に対する戦犯としての処刑だ。日本の敗戦後の占領時代の歴史の中で幾つもの理解できない出来事があるが、その一つが憲法第九条の不戦条項だ。色々な説があるが、今回の伝記ではマッカサーが第九条を指示したと書かれている。明確に指示したと書いてあるので根拠があるのだろう。しかし、著者も指示のことを書いているが、マッカサーが第九条を命じた理由を解明していない。なお、マッカサーが占領時代の日本に対して米国内からの反対を省みずに食料の提供を断行したことやマッカサーの部下が日本の衛生面での改善に貢献したことを書いており、敵国であった日本に対して別格な配慮をした点に感謝すべきと思われた。日本の占領末期に朝鮮戦争が起きてその対応に対して幾つかの失敗などがあったが、参戦した中国軍を叩かないと将来に禍になることの予測は当たっていた様だ。何れにしても自分を演出する才能を発揮し、米国民から尊敬されたが、政治に関しては才能がなく、後輩のアイゼンハワーの様に大統領にはなれなかった。日本の今日はマッカーサーが占領軍の指揮官でなければ違っていたかも知れないと思われた。

現行金利と金利上昇の懸念には過去を振り返る必要がある

日銀がアベノミクスの異次元緩和の解消を目指している中で金利上昇の懸念が紙面を飾っているが。現行金利を見た場合には資本主義が崩壊したと言っても過言ではない。1992年に金利は7.78%であったがバブル経済崩壊後の資産デフレにより金利は低下し、1998年には2%を割り込み、それ以降次第に金利は下がったものの2007年頃には2%を超えるかの状況になった。しかし、2008年のリーマンショック以降は再度下がり続け2%には程遠いのが実情だ。バブル経済時代に円高になり海外に工場を移転しなければ輸出価格の競争力が無くなり、下請けと共に多くの企業が海外に生産拠点を移した。この為、国内的には第三次産業などサービス産業にシフトする政策が取られ、円高是正の内需拡大による公共投資事業の拡大や不動産の高騰によるバブル経済が起きた。現在の経済を見るには過去の歴史を遡る必要があるが、低金利政策から26年も経過しては高金利時代など理解できないと思われる。昭和・平成・令和を生きた人にとっては10%を超える金利で事業を行ってきた経験があるので、現行金利の低さでしか事業が成り立たないのには驚くばかりだ。今のマスコミの紙面を見る限り金利上昇に関する不安面が大きいが、その不安は民間企業よりは国債の金利上昇による国家予算の真水部分が減少することと推察される。経済を正常に戻すには物価上昇と労働賃金の上昇が必要な事は当然だが、過去30年に渡る国家と民間企業が間違った行動に関する反省がないのでは、物価上昇をコントロールできなくなって金利を上げて抑える危惧が起きてくる。資産デフレの原因はバブル経済崩壊以上にアジア通貨危機による面が大きい。多くの企業が工場の海外移転を進めたが、アジア通貨危機で海外の生産工場の不振が生じた。多くの海外工場の建設資金は国内の不動産を担保に借入たものであったので、バブル経済崩壊の不動産価値の下落は企業にとっては痛いものになった。バブル経済による不動産下落はアジア通貨危機によって拍車がかかったのである。尤も、バブル経済から今日の日本経済を見ると正しい判断が出来ない。更に、20年以上遡ってベトナム戦争終結、日本列島改造論、オイルショック、重厚長大産業の終わりなど色々な出来事を見る必要がある。現在の少子化現象など分かっていたのに手を打たなかったのは円高による海外への工場移転などで国内に労働人口が必要なくなったことも一因としてある。国家も企業も将来の人口減少による国家リスクなど見れていなかったのである。付加価値の高い工場は国内に残したが、付加価値が高いので人より導入コストが掛るロボットでも採算性が取れることも人口減少に目を向けなかった愚かさであろう。この間、マスコミは将来に対する悲観的な記事を書いて結婚適齢期の男女の結婚を阻害し、更には子供を産むことに対する懸念も助長させた。尤も、マスコミ以上に政治家は政治資金を公的資金で賄える制度になり、更に小選挙区制度によって党に媚を売る連中だけが当選し、国民の声を聞くことのなくなった。過去を振り返ると政治家も官僚も大企業経営者も国家の大計を考える人がいなくなり、経済の停滞は革新的な事業をおこせないからだと一面的しか見えていない。今後は専制国家と民主国家との対立になり経済も当然に変わってくることになり、それと相俟って急激な技術革新による世界の変化により、金利に関しては別な視点から深く考える必要がある。

「朝鮮半島の歴史」を読んで

一番身近な国ながら意外と朝鮮半島の歴史を知らない人は多いと思われる。私も若い頃に日本と韓国の借款関係と企業間取引に対する情報誌の編集の仕事をしていたので多少なりとも知っていると思っていたが、「朝鮮半島の歴史」を読んで完全に思い違いをしていることが分かった。日本人の祖先は朝鮮半島からの帰化人によって技術など伝えられているのだが、同じ血を引いている種族が多いのに日本と比較すると朝鮮半島の種族達は統一した国が出来てからも常に党派の争いが絶えず混乱していたのには驚いた。地政学上に関して大陸と海を隔てた日本と違って大陸と地続きの朝鮮半島は漢民族や北方民族の影響を受けていたことに起因した争いもあることは確かだが、その理由だけでは考えられないほど争いが多いのは事実だ。日本の場合は台風、地震、火山など災害が多発する自然環境にある為に争いを続けられないとも思われる。確かに、朝鮮半島は日本と比較すると地震の影響が少なく、火山も少なく、台風もそれ程多くないので、人々が団結して危機を乗り越える状況は少ないと考えられる。尤も、漢民族からの影響が強く、常に支配下に置かれていたのは歴史的事実であり、独立した国家としての期間が短い。朝鮮半島の統一国家とする朝鮮王国でも漢民族の支配下にあった。現在は北朝鮮と韓国の二つの分断国家になっているが、完全独立していることから言えば長い歴史の中では貴重な事の様だ。韓国の人達が日本の植民地支配を民族の悲劇として日本や親日派を糾弾するが、長い歴史の上では漢民族の支配が長く、それに対する非難が起きないのが不思議だ。もっとも、歴史の歪曲もあり、若い世代の人達は漢民族の支配に関して知らないと指摘されている。伊藤博文を暗殺した安重根を英雄としているが、伊藤博文が韓国併合に関して日本帝国の経済負担から反対していた事実は全く韓国の人達に知らされていない。歴史に「If」はないが、伊藤博文の暗殺が無ければ韓国の併合がなかった可能性もあった。逆に、暗殺事件が国の統合の意見を持つ山形有朋の登場になったのは皮肉な事だ。韓国の併合なしに韓国に借款を提供して近代化を行い、真の独立国家とさせたならば日本と朝鮮半島の歴史は変わっていた。実に残念な事だ。今の台湾の様に日本に対して近代化に対する感謝の気持ちも韓国に生まれたと思われる。太平洋戦争後の米国は朝鮮半島の歴史を研究していた為に日本の支配下にあった朝鮮に対して直ぐの独立国家ではなく、10年間の信託統治後に独立させる計画であった様だ。朝鮮半島はバルカン半島の様に紛争の火種として地政学的にあることを認識されていたとも解される。何れにしても、日本に最も身近で血縁的にも同族である人達が多い朝鮮半島の民族とは東アジアの安定の為に手を結ぶことが必要と思われる。

ロシアのウクライナ侵略を見て東アジアの平和は日韓の核武装が必要なのは正論

韓国世宗研究所の鄭成長・韓半島戦略センター長が東京都内で行われた緊急時局講演会で「韓国の核兵器で北朝鮮をけん制し、日本が核兵器で中国をけん制すれば東アジアでどの国も他国への侵略を試みることが出来ないでしょう」と述べたことの記事を読んだ。鄭成長さんは私は誰よりも平和主義者で有る事にも言及したが、その時の聴衆者は驚いた様だ。しかし、ウクライナがロシアに侵略されたのは欧米の経済支援との引き換えで核兵器を手放したことであるのは自明な事だ。核大国の中国が経済不況にも拘わらず膨大な軍事費を計上し、北朝鮮も核兵器を保有し、米国が世界の警察の役割を後退させている現状を考えると、米国の核の傘の下での平和は期待できないのは事実だ。中国の台湾進攻、北朝鮮の韓国侵略、ロシアの北海道への侵略の危険性は非常に高まっている。中国が台湾に対する武力侵攻すれば、間違いなく北朝鮮は韓国を攻撃し、ロシアも北海道を侵略するのは眼に見えている。日本は太平洋戦争で核爆弾の被害者であり、加害者ではない。被害者が核に対して加害者の様な罪悪感を持つ必要はない。勿論、核兵器のない世界が理想だが、その理想実現にも核を保有してこそ廃棄を求めることが出来る。核兵器を持っていないのに放棄を求めても効果がない。ウクライナ問題は欧米が経済支援の約束を担保に核放棄をさせたので、欧米はウクライナを支援するのは当然だが、米国の共和党はその事実を考慮せずに支援を渋っている姿は明日の東アジアであることは自明だ。今こそ台湾、韓国、日本が共に核兵器を保有し、強権国家から自国民を守るべきだ。

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