トヨタの問題はグローバル化の企業規模拡大を目指した当然の帰結

トヨタのリコール問題がマスコミなどに大きく取り上げられているが、何をマスコミは大騒ぎしているのかと余りに無知に驚いている。トヨタの信頼性など国内の部品会社との連携によって作り出されていたもので、海外企業の部品会社に依存すればトヨタの信頼性などGMレベルになることは至極当然なことなのである。この様な事は20年以上前からコスト的に合わなくなって国外に工場が移転した段階で起きていることである。当社の業界でも、ビル内の設備に関しては部品調達を海外に依存するようになってから故障が増加し、日本製品の信頼性などその時点から低くなっているのである。勿論、日本のメーカーの多くは下請け会社も一緒に海外に出ているケース多く、品質管理に気を使っていた事は確かだが、グローバル化にあって果てしないコスト削減努力を必要となってからは日本メーカーの信頼性は年々低下してきている。日本メーカーにとって大変なのは国内と海外との販売を考慮すれば別基準で製造しなければならないことである。確かに、国内のユーザーは海外のユーザーに比べて性能評価やフル装備を要求するなど大変な面があったが、その反面価格的には旨みがあった。しかし、グローバル化の波と考え方が日本人にも浸透し、機能面に比較して価格が取れない様になって来て従来の物づくりの考え方が限界に来てしまったのである。皆が忘れているが、トヨタは自動車の技術が高くて伸びた企業ではなかったのである。日本の道路事情の悪い点を考慮するなど販売戦略で他の自動車国内メーカーを凌駕して行ったのである。その後は看板方式など在庫を持たない工夫で製造コストを抑え、利益率を向上させたが、トヨタなど日本の自動車メーカーが世界で評価される様になったのは、制御装置にIC化を導入し飛躍的に性能がアップしたからである。それまでは海外自動車メーカーの油圧方式に太刀打ち出来なかったのである。新社長となった豊田家の御曹司は金融機関出身と聞くが、私の知る限り「金融機関」と「商社」出身の創業家社長は失敗しているケースが多い。トヨタは技術より販売が企業の成長に大きく貢献してきたが、正に販売を通してユーザーの声を聞いて車造りを行なってきたのでトヨタは強かったのである。それが何時の間にか製造技術や看板方式など販売軽視とは言わないが、製造部門のコスト削減などの声が経営の主流になって来てしまい、今回のリコールの問題が発生したと思料される。グローバル化では企業規模を目指さないと生き残れないと言う考え方が浸透し、更にIT社会ではナンバーワンが圧倒的なシェアを確保すると言われるが、トヨタの新社長も自動車のIT推進派であったことが雑誌か何かに掲載されていた。トヨタがIT社会の法則でナンバーワン企業を目指した結果が今回の欠陥車に繋がったとしたら悲劇である。
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