今年の夏も㈱ユーハイムから「ゲーテの詩の朗読会」の案内状を頂いた。何時から河本社長ご夫妻から案内状を頂く様になったかは日記や手帳の類を一切付けない私としては定かでないが、少なくても20回以上はお誘いを受けていると思われる。ご案内を頂いたが都合が悪く参加できない時は知人に差し上げて大変喜ばれた思い出もある。今年は31回目を迎えた「ゲーテの詩の朗読会」であるが、昨年の第30回の時には悲しいお知らせがあった。同会の第1回目から審査委員長を務めてきた慶応大学名誉教授の宮下啓三さんが病にも拘らず委員長としての役割を果たし、委員長の職務が最後である事を自ら告げた。宮下さんが今年5月6日に亡くなられたことを知り、最後まで同会の委員長としてウイットに富んだ講評には頭が下がる思いがした。そして今年8月25日(土)に第31回のゲーテの詩の朗読会が開催され、新しい委員長として東京大学大学院の准教授の石原あえかさんの名前がプログラムに掲載されていた。同会は年々選抜者の決勝大会のレベルが上がり、一般審査員としての評点が難しいのを感じた。尤も、学生時代から余り詩を親しんだことがない私にとっては評価の基準が曖昧だったこともある。しかし、今年は隣の席に偶然に河本ご夫妻の三男のお嫁さんのご両親が座られたので、ご主人様とゴルフなどの雑談も行い、何時もの緊張感から開放された気分もあった。それでも入賞者と私が高得点を与えた人とは開きがあったらしく、一致したのは5人の内1人だけであった。入賞者に対する表彰式も終わり、最後に新審査委員長が総評と委員長就任の経緯を述べたのだが、この中で印象的だったのは故宮下前審査委員長が石原新審査委員長を推薦したことであり、石原さんは宮下慶応大学名誉教授の愛弟子であったことである。流石に宮下慶応大学名誉教授が推薦した石原さんの総評は素晴らしかったが、同時に来年以降の私の一般審査に関して大きなヒントを与えてくれたことである。今までゲーテ自身に関してとゲーテの詩に関しては区別のことなど関係なく感性だけで評価していたのだが、大きな間違いをしていたことに第31回に参加して漸く気づかされた。勿論、来年以降もご案内状を頂くことを前提にしての図々しいことだが、来年は入賞者と私の評価が大分近づくのではないかと期待している。それにしても、多くの大企業が目先の利益だけを追求する時代に、㈱ユーハイムは31年に渡り、創業者の出身のドイツ国の詩人の詩の朗読会を続けるという文化的な活動には敬意を表したい。河本社長は若いときに教育学者を目指したことを聞いたことがあるが、経営者としてのレベルの高さは若い経営者などは足元にも及ばない。手作りの美味しいバームクーヘンを定期的に注文する位ししか出来ないが、立派な経営者の商品を使うことが日本を良くする事だと思うので、微力ながら応援したいと思う。