日中韓の歴史の逆転現象

中国と韓国の日本に対する最近のアクションを見ると、明治維新後の日本が清国と李朝鮮王朝に対して行った覚醒の為の示威行動と似ている気がする。明治維新時のアジア諸国は大半が欧米の植民地になっており、清国も独立とは名ばかりの様相であり、李朝鮮王朝の独立は風前の灯であった。日本は当初、アジアで孤立しないように清国と朝鮮王朝に対して近代化を促した。然し、両国とも日本の様な明治維新が起きず、欧米の植民地になる可能性もあった。このため、日本は覚醒の行動から両国に対する侵略へと大きく方向転換を余儀なくされ、先ず韓国を併合し、清国から変わった中国にに対しては満州に傀儡国家の満州国を造って欧米の植民地化を防ぐ算段をしたのであった。この計画の大きな誤算は日本の大陸の軍隊であった満州派遣軍の関東軍が暴走して中国に対して戦争を開始したことであった。

さて、現代に話を戻すと、経済的に力をつけた中国と韓国が欧米諸国と経済戦争に負けないために米国依存の日本に対してアジアに帰還することを促している図式と捉えると面白い歴史の逆転現象が起きていることになる。

中国と韓国は欧州がEUで統合しブロック経済の様相が起きている現象の世界的波及を憂慮し、アジア版のEUの可能性を模索していると思われる。このアジア版ブロック経済化で重要になるのは日本である。中国と韓国は日本が欧州の英国の様な存在になることを危惧しているが、実際に米国の動きは日本をアジアの英国にする意図が見え隠れする。しかし、米国と英国の関係にはならないことは、今回の米国の各国首脳や企業に対する盗聴問題ではっきりした。又、日本とアジア大陸との関係は英国と大陸との関係と異なり、アジアでは日本以外にフィリピンとインドネシアの二国が海洋国家として存在している。この為、アジアは北東地域とアセアン地域とに分けて考える必要があるが、何れにしても、米国はアジアに影響力を保持するために中国と韓国と日本が仲良くては困るわけだ。この点では、米国は日本が中国と韓国で犯した戦前の行為を使って妨害できる切り札をもっており、正にその切り札で日中韓が最悪の状況になっている。

韓国の朴大統領が欧州で日本非難を続けてることを日本のマスメディアが取り上げて対立を煽っているが、朴大統領の真意は日本のアジア回帰と推定される。中国も尖閣諸島問題を突きつけられて日本に対して抜き差しならない立場に追い込まれているが、中国も尖閣諸島問題が他の地域の領土紛争に波及するメビウスのの罠に嵌ってしまった。米国は日中韓に対する巧妙な仕掛けと同時にTPPと言う太平洋ブロック経済でアジアの分断作戦を進めている。この為、日本が戦前の清国、朝鮮国と同様に中国、韓国からのアジア回帰の要請を撥ね退けて米国との二人三脚でアジアの英国としての道を歩むのか、経済力を増したアジア諸国の盟主としての道を歩むのかの岐路に立っているのは確かだ。正に歴史の皮肉だが、戦前とは違った意味での日中韓の歴史に逆転現象が起きているのである。

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