環境リスクのひとつの土壌汚染の問題

豊洲の築地移転と豊中市の国有地払下げ問題に何れも土壌汚染が論争の鍵を握っている。面白いことに、2か所とも"豊"と言う字が使われている場所と行政管轄で問題が生じているのは皮肉なことだ。

築地の移転で豊洲の土壌汚染が問題になっていると思っていたら今度は築地でも土壌汚染の可能性ありの調査結果があると報道された。本当に日本と言う国はマスコミを使った大衆操作で政治を行うと嫌になる。豊中市の大阪空港用地の一部小学校建設の為に払い下げた用地にも汚染物質があるとのことで売買価格が引き下げられたとのことだが、どうやらどの問題も土壌汚染に対する無知な国民とみた悪知恵が働く輩が企画した事件と推定できる。この為、土壌汚染に対する基本的な知識が分かる程度に3件の問題を解説することにする。

先ず、日本で土壌汚染に対する意識が芽生えたのは、経済バブル崩壊後に欧米から持ち込まれた不良債権ビジネスからである。環境リスクの土壌汚染調査は不動産証券化作業の過程で一層重視され今日に至っているので、歴史的に見れば20年程度と言ったところだ。バブル経済崩壊後の日本は正に第二の敗戦、そしてハゲタカファンドは第二の進駐軍と見做される。

日本人と言う人種は他人の褌で相撲を取るのが上手く、第一の進駐軍の時にも進駐軍が言ってもいない嘘を平気で付いて政治に利用していた。皆が容易に接触できない存在を利用して自分の意見を政治的に利用する術に長けた人物が勝者になった。この様に書くと土壌汚染と関係ないと思われるが、利用するのは人ばかりではない事を言いたいからである。豊中市の国有地払下げ問題は正に土壌汚染と権力者の両方を利用した狡猾な国有地搾取事件だからだ。盗泉の水を飲む喩があるが、豊洲などは多くの関係者が盗泉の水を飲んでいると思われるので、真実が見えにくくなっている。豊洲問題が都議会で百条委員会の設置が決まり、移転疑惑に対する審議が始まる矢先に今度は築地が汚染されていた記事が掲載された。しかも、汚染は進駐軍である米軍のクリーニング工場があったからだそうで、その上築地には場内を走る車の整備工場があるので、汚染間違いなしと書いている。

さて、話が飛んで土壌汚染の基礎講座はどうしたかと言われそうなので土壌汚染調査に戻るが、土壌汚染調査は先ずフェイズⅠで地歴など資料調査を実施することになる。この地歴調査で過去に印刷工場や自動車工場など化学薬品や化学物質を扱った施設があったかどうかが判断の決め手になる。この調査で疑いが出ればフェイズⅡに移し、土壌のサンプリング調査を実施する。サンプリング調査で汚染の可能性が出てきた場合には、フェイズⅢに移り、ボーリングや掘削を行って土壌を確認するのである。ちなみに、豊洲の場合は東京ガスの工場があり、最近まで汚染させていた場所なので、最初からフェイズⅢの調査を実施したと思われる。土壌汚染が厄介なのは地下水に融けて汚染が拡大することであり、その場所の汚染度合ばかりでなく周辺に対する汚染調査も重要となる。

次に、豊中市の大阪空港用地売却に関してだが、長く騒音隔離用地として使用されてきたので過去に何が設置されていたか不明であったと思われるので、フェイズⅠから調査を行ったと推定できる。なお、汚染物があると判断されて売買価格から処理費用が控除されたのであるから調査はフェイズⅢまで行っていると断定できる。直近のニュースだと掘削した土砂を校庭内に仮置きしていることが報道されているが、小学校の敷地になる場所に汚染廃棄物を仮置きしているとは驚きである。何をか況やである。ここではその真偽を問うブログではないので次の築地汚染報道に移ることにする。

築地に関しては近くに高速道路があるので排気ガスで汚染されているなど築地移転を早く行わないと大変だと言う大合唱が聞こえる。そして今回の進駐軍時代のクリーニング工場汚染報道だ。豊洲移転を正当化する築地の汚染報道は豊洲の汚染が如何なるものかを考えない輩の戯言だ。覆土を盛り土と称する報道には呆れるが、耐震性から言えば盛り土を行うなど言語道断だ。木造2階建てと違うので杭が入っているから問題ないと指摘するであろうが、何故2mもの盛り土(覆土)を行い必要があったかに関しては明確な報道がない。豊洲の問題は当該地で汚染土を浄化しているので、汚染土を外部に持ち出したのではないと言うことである。日本の土壌汚染に対する意識は高々20年なのを考えると、豊洲における汚染土の浄化による対策で十分なのか気になるところだ。日本人の悪い癖は引き返せないことだ。そのシステムで全てを失った過去を学べと言いたい。

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