不動産の今昔その2-④

不動産業界にも設計図はCADからBIMに次第に移りつつあり、更に新しい技術であるAI、MR、VR、ARを導入する動きが出てきている。特に、車の自動運転技術から応用した技術は既存建物を赤外線等で照射して立体的なモデルを構築できるので、図面などがない古いビルには利用価値がある。どの業界でも同様だが、新しい技術を使うには多額の投資資金が必要になるので、中小の不動産会社にとっては厳しい現実が待ち受けることになる。更に、新しい技術は既存の業務を消滅させる場合もあり、下請け業務としてどの分野が残れるかも重要な点だ。ブロックチェーン技術を使ったインターネット上での契約締結などが顕著な動きだ。人型ロボットの出現なども同様だ。造れば売れる時代から売れる物を造る時代になって久しいが、売れる物を造るにはデザイン重視となり、一時期はデザイナーズマンションがブームとなった。今はデザインは当然として環境に優しく、更に消費者目線で売れる物を造ると言う脅迫観念に近い要求が求められている。その結果、人を超えるAIの利用ともいえるし、購入前にバーチャル世界で物件に対する疑似体験出来る誤差のない安心の世界が提供される様になりつつある。消費者がエンドユーザーの場合には理想の販売方法だと思われるが、収益不動産の場合には物件購入者の先にテナントと言う利用者がいるので、新しい技術が賃料アップや入居率アップに直に繋がるかを検証することも求められる。AIの技術は不動産の評価や適正賃料などに利用されてデータに客観性を持たせることに利用されている。不動産の直接的な技術ではないが、車の自動運転技術は駐車場の面積縮小にも効果があるので、ショッピングモールや駐車場の運営者にとっては副次的な経費節減効果となる。新しい技術は今後も思わぬ副次効果をもたらすと考えられるので注視する必要がある。

不動産の今昔などと言うタイトルで書いたが、情報化時代は誰もが多くの情報に接することが出来て情報に追われる生活を余儀なくされており、数年前の出来事が大分古い出来事の様に錯覚する時代にどの時点をとらえて今昔として見るかは個人差があるので意味がないかもしれない。私は若い頃に編集記者となり記事を書いていた時期があった。この時には締めが終わった時から次の締めに追われるので時間経過が早く感じた。我々は相対的な時間空間に置かれているので、仕事によって時間の経過が異なると思われる。良く新聞記者が早く老成すると言うのも締切に追われる仕事ゆえかもしれない。情報化時代で時間軸が短くなっているのは仕事や個人差ではなく、今後は全体的な動きと見ると時間軸の捉え方にも格差が出て来る可能性もある。情報化時代の前にスローフードなどの動きがあったが、今後はその様な動きが広がって不動産業界にも影響が出て来るものと思料する。

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