グローバル経済における「事業の選択と集中」の危うさ

効率の良い経営と言う事で、ここ数年は会社経営において「事業の売却と集中投資」を行った会社が業績を伸ばした。しかし、この手法は一定の条件でしか通用しないことが今回の金融危機で思い知らされた。確かに、企業にとっては、余り利益を生んでいない事業に投資を続けることは、経済合理性の観点から見ても良い判断とは言えないかもしれない。しかし、現時点で考えた事業が企業の将来を支えてゆけるかどうかは過去を見れば一目瞭然である。経営には経済合理性も必要だが、未来を予測出来ない中で、過度な事業における選択と集中はリスクを抱えることになる事に気が付いた人は少ない。グローバル経済が金融経済の短期的な収益を重視して行われたことに問題点があった様に思える。この問題点と、金融経済は短期的な視野で物事の判断を行っていることである。メーカーの経営には短期的な視点も大事だが、中・長期的な視点とのバランスが欠かせない。特に人材育成を考えると金融機関の様に必要に応じて人材を市場に簡単に求めれらないからである。どの事業が会社の将来の大黒柱になるかを予想するのは難しい。金融機関と違って物づくりの現場には色々な経験を有した人材が必要であり、その人材を確保してゆくには事業が必要なのである。どうも近年の経済合理主義には、中国の荘氏の「無用の用」の考え方が不足していると思われてならない。

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