厳しい経済情勢の中でも社会・文化に貢献している企業

先週の土曜日に毎年恒例の株式会社ユーハムが主催する「ゲーテの詩の朗読大会」の一般審査員として参加しました。「ゲーテの詩の朗読会」の参加は今から20年以上前にユーハイム社長ご夫妻との出会いから一般審査員のチケットを頂くようになって参加してきました。当初は全国大会を勝ち抜いてきた優秀な方々の朗読であったので、私には評価に差を付ける能力がなく、私が評価した2名の方の殆んどが毎年賞に漏れたものでした。今年は珍しく選んだ2名の方が優勝者と入賞者となりましたが、これは私の朗読に対する能力の向上というよりは偶然の結果と謙虚に思いました。しかし、ユーハイムの河本社長の文化に対する貢献には頭が下がります。これまで何回も経済不況の中で経費を要する本大会に関しては社内的にも賛否両論があったと聞いています。1982年(昭和57年)に第1回の朗読大会が開催されてから今年で28回目となりますが、開催日は毎年ゲーテの誕生日である8月28日前後の土曜日としています。今年は正に誕生日と同じ日となり、河本社長の発声でハッピーバースディが会場に響きました。先日、ヤマハ発動機では多額な赤字を計上したが、これまで行なってきた各種スポーツ競技の団体を廃部せずに継続すると表明した。理由は他の会社と同じにはなりたくないと言うことであった。この言葉は何事も株主優先で株主に対する高配当と短期的な利益を追求して社員を大事にしない多くの会社を皮肉っていると思われます。現代の殺伐とした社会になった背景は企業が社員を大事にしなくなったことが根底にあると思われます。社員の団結を図らなければ企業の業績は短期的には回復しても中長期的には落ちてしまう。「企業は人なり」、「組織は人なり」です。ユーハイムがゲーテの詩の朗読大会を開催するのは文化に貢献する事はもとより、正に企業風土の確立であり、社員間の企業を支える力の養成ではないかと思われます。若き頃教育者を目指した河本社長らしい社員教育と企業経営と感心しています。現代の様な大きな変化が起きている時代こそ軸がぶれない経営が大事であり、社員が会社に企業理念を理解して動くことが必要と思われます。ユーハイムは正にそれを実践している企業であるので、私はユーハイムのお菓子を食べて今後も微力ながらエールを贈りたいと思っています。特に、マイスター手づくりのバームクーヘンの美味しさは格別であり、新年やお盆の帰郷には必ず田舎に送って貰い美味しく食べています。河本社長は早くから自然食品しか使わないお菓子作りを行なっており、企業家として高い理念を持った生き方の人でもありますので、彼の様な経営者にお会いできたのはお金儲けだけで動いている不動産業界に身をおく私に取っては意義のあることでした。今から来年のゲーテの詩の朗読大会が楽しみです。

若返りばかりでない熟年世代の活用

我々世代はトップの社長年齢の引き下げの時流で優秀だが役員になれずに子会社に出るケースが多いが、このほど仲間から学生時代の友人が某商社の執行役員に就任しブラジル現地法人社長兼米州本部長付きになったと連絡が入った。本社社長は彼より入社が3年次下と言うから大企業にしては珍しい人事であろう。私としては心から彼の役員就任を祝いたいとともに、若返りの声に押されて自身を失った我々世代に彼の役員就任を知らせて頑張れと励ましたい。彼の就任の言葉、「人が仕事をつくり、仕事が人を磨いて組織を強くする。強くなった人と組織はさらにまた新たな仕事を産み出す。」です。最近、日本企業が忘れていた人を大事にする事を改めて思い出した。彼は今後は次世代に活躍する人材の育成にも全力を尽くすと言う言葉を目にして逆境を乗り越えた彼の頑張りが言える言葉であると実感した。彼とは学生時代に初対面の時に私の下宿で夜を徹して語り合った思い出がある。都会育ちの彼は垢抜けており田舎育ちの私に取っては目映かったが、自分の生き方を持ち、人の意見に耳を傾ける彼の姿は今でも鮮明に覚えている。学生時代の友人に私が一目置いた者は3人居た。その内の2人は今でも海外で頑張っている。もちろん、私自身も大いに励まされる連絡であった。

オバマ大統領を苦しめているグリーンスパンの老害の大きな代償

全米で約20%の住宅の持ち主が住宅ローンに関して債務超過になっており、自己破産が簡単な米国では住宅を投げ出し、金融機関によるForeclosure(担保権の行使)が激増していることが報道されている。確か記憶では1980年代前半以前の米国の住宅ローンの比率は価格の20%程度であった。日本のインフレ経済を考えた価格の80%以上の住宅ローンの設定とは異なり、長いデフレ不況で苦しんだ米国人の堅実な知恵であったのかもしれない。それがITバブル経済崩壊後の景気対策でグリーンスパンが打ち出した住宅金融緩和によって米国に不動産バブルが起こり、誰もが過去に経験していないインフレに酔って上昇した住宅価格に対してクレジットを拡大した。日本経済のバブルと同様に花見の宴が何時までも続くと考えた人達が新種の手法(証券化)で宴を大きくしたのである。バブルの張本人のグリーンスパンは日本経済のバブルの失敗を教訓としているなどとデカイ口を叩いていたが、実際には何も知っていなかったのである。しかし、問題は日本人が考えている以上に住宅ローンに対する米国経済の影響は深刻であり、このままでは正に日本と同じ様にB/S不況に陥り、実体経済の回復にも影響が出てきそうだ。古い話だが、1920年代の大恐慌の引き金は米国フロリダのリゾートの大暴落から端を発して株式の暴落に繋がった経緯がある。これを機に不動産鑑定と言う手法と資格者が生まれたのだが、今回の米国の不動産バブルには何の効果も無かった様だ。グリーンスパンの大きな誤りは経験知から経済動向の判断としていた物価指標の選択に誤りがあったからであった。データは使う人の選択で大きく変わるし、データは飽くまでも過去の出来事であり、未来を予想するものではない。ましてグローバル経済となって生物多様化現象の坩堝では何が起きるか予測ることは至難の業である。尤も、一番の問題は時間の加速現象であるかもしれない。この米国の住宅問題は海の向こうの出来事として静観していられないので厄介だ。既に始まっている円高が良い例だ。また、日本人は米国が初めて広島の原爆記念日に米国大使が出席したと言って評価しているが、米国が意図は日本をイラン叩きの仲間に入れる踏み絵と言うことを理解しないと平和ボケで今後の展開で誤ってしまう。日本人は能天気なので世界から良い様に利用されてしまう。逆に、円高のメリットを最大限ニ利用する方法を考えて円高で国内のメーカーが居なくなるマイナスを補う他無いと思われるが、日本の金融機関は国債購入で前向きな融資を行なわないので話にならない。円高で動かなければ、世界不況が終わった時には日本は2流国家に成り下がっていることは断言できる。

理容師が40年以上使い続けている当時10万円の鋏

今は床屋さんとは言わないが、どうも理容室などとは言い難いので昔通りの床屋さんで話を進めることにする。30年近く通い続けている床屋さんとは散髪中に良く四方山話をするのだが、先日行った時には偶然に床屋さんが40年以上前に購入した鋏の話題になった。当時の散髪代300円位の時に1本10万円の鋏を買ったマスターも流石だが、その鋏が40年も使えるのには更に驚いた。もちろん、マスターの手入れもあっての事と思うが、それにしても昨今の安ければ良いと言う風潮と異なる時代に作られた物は違うと思った。尤も、当時も半値の1本5万円の物もあったそうだが、その鋏は10万円の物とは決定的な違いがあって使っている内に修理箇所が出てきたそうだ。この床屋さんは私のいびつな頭に対して見事に違和感を感じさせない腕の持ち主で、私が住まいの周辺で探していた時に出会った方であった。独身時代からで、最初は隣駅に住んでいた時に偶然入った床屋さんであった。腕が良いから引っ越しても電車を乗り継いで来るお客が多いらしい。なお、この鋏はステンレスではなく、鋼製で出来ているので研ぐのが容易だと言う事である。最近のステンレスの鋏は研げるのだが、旨く砥げないと言っていた。話を戻すと、一流の腕を持つ床屋さんは一流の道具(鋏)を知ると言う事を理解したが、今時の若い理容師さんはその様な投資をすることはない様に思える。マスター曰く、当時5本購入したのだが、支払が大変なので3本を返したが、今は返した事を後悔しているそうだ。確かに、40年以上も使い得るなら結果的には安い買い物をしたことになる。そう言えば、昔から"安物買いの銭失い"と言う言い伝えがあったことを思い出した。正に、グローバル経済のデフレ化の時代では安いものが出回っているが、現代でも安くて良い物はないことを理解すべきだと思う。私の床屋さんは、高い鋏を使うことによってお客さんが満足する様なカットの仕方が出来たのだと思われるが、正に職人の世界である。職人の世界は見て覚えさせるのだが、此処には"考えさせる"と言う事と、一流になるためには"たゆまない努力"が必要であることを教えている。今の日本が駄目になった理由は机上の空論が多いからだと思料する。私も若い頃なら1本10万円の話を聞いても聞き流していたかもしれないが、この年になって初めて価値と言うことはどの様なものか少しは分かってきたから理解できたのである。私は懐古主義者ではない。便利な情報化社会の恩恵も受けており、それを否定するつもりは無いが、グローバル経済の理想は政治の統合があって初めて実現する事を忘れれば痛い目にあうことになる。このため、少しは真の価値について考える時間を持っても良いのではないかと床屋さんの話を聞いて思った次第だ。

 

 

省エネ診断

東京都庁の外郭団体「財団法人 東京都環境整備公社」は省エネ対策工事の補助金申請に関連して依頼すると省エネ診断を行なってくれる。当社の管理ビルの一つも、今後の改修工事に際しては省エネ対策を取り入れることを想定して同公社にビルの省エネ診断をお願いした。結果から言えば、良く管理されているビルとのお褒めの言葉を頂いたが、今後は報告書を頂いて改修工事に対する補助金の申請を検討することになる。東京都の補助金及びこの省エネ診断の情報を頂いたのは空調工事会社からでしたが、省エネ診断は多岐に亘って行なわれ、然も補助金申請は診断内容と相俟って個別に申請が可能な事が分かり、大いに参考になった。今回の省エネ診断の報告者が出たらオーナーに結果を報告して今後の改修工事に際しては省エネ診断結果を参考に補助金申請も考慮する事を促す考えである。京都議定書のCO2削減に向けて東京都以外にも同様な補助金を検討している地方自冶体あるとされ、どうせ改修工事を行うなら省エネ対策を行なって補助金を得ることが大事と思われた。省エネ診断に訪れた公社の年配のスタッフの方はビル設備の事を熟知しており、空調工事会社の方の見方では都の職員の方ではないと指摘していた。確かに詳しかったのが印象的であった。診断の対象となったビルは築23年であったが、当時のビルとしては最新の良い設備を入れたことに感心された。日頃の取り組みと業者との良い関係を継続しているとオーナーにとってはプラスになる情報がもたらされるが、最近の人間関係を重視しない遣り方のオーナーにはこの様な情報は入らないと思われる。久し振りにプロ同士の遣り取りに立ち会ってホッとしたのは事実である。
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