詩の力!
最近、若くして逝去した金子みすずの詩が良くCMなどに使われている。特に、東日本大震災以降は頻繁にTVを通して耳に届く。又、一時は公共広告機構などの「こんばんわに」、「おはよううなぎ」などの癒し系CMが流され、対極のCMの「頑張れにっぽん」や「頑張ろうにっぽん」の五月蝿さに対して心が和んだ。今回の大震災においては若い方のボランティアの参加が多かったと言われているが、ヴァーチャルな社会の中で生きている傾向が強まっているので、実際の経験を重視する流れに合致したと考えられる。最近、或る雑誌で群馬県出身の詩人「高橋元吉」を知った。高橋は偶成の詩人と呼ばれたらしい。明治生まれで戦後の1965年に72歳で亡くなっている。多くの作家や詩人などが今回の大震災に関してどの様に書き留めるべきか悩んでいると言われるが、高橋元吉の詩は日本の四季の移り変わりと厳しい自然環境に生きる術を語ったものと思われる。又、戦争の時代を生き抜いて戦後の平和の時代も経験している。彼の代表的な詩のひとつ、「なにもさうかたをつけたがらなくてもいいではないか なにか得態の知れないものがありなんといふことなしにひとりでさうなってしまふといふのでいいではないか 咲いたら花だった 吹いたら風だった それでいいではないか」がある。私はこの詩に触れた時に肩の力が抜けた。高橋元吉の詩集を入手するのは今では難しいと書かれていたが、一度じっくり読んでみたい詩である。