不動産仲介手数料について

私は不動産業界に長く身を置きながら不動産仲介手数料については深く考えてはこなかった。実は2年ほど前になるが、偶然知人と不動産売買手数料の話になり、私は両手(買主売主)は利益相反になるので取れないと思っていたが、その知人により私の考えが間違いなのに気づかされた。特に最近は信託銀行系の業者は両手しか取引しないとのことも聞き時代が変わったのを痛感させられた。私が仲介手数料で勘違いした原因は、賃貸物件の仲介手数料が賃料の1ヶ月分と言うことと混同していた為かもしれない。賃貸物件の場合には2ヶ月の仲介手数料は違法になるので、主として広告宣伝費として領収書を切るのが慣習となっている。然しながら、不動産売買手数料の両手を容認している事は利益相反問題にならないのかと考えてしまうのだが、良く考えると街の店舗不動産は家主から直接物件を得ていれば飛び込みの借主の場合、当然に両手の商売であるので両手の手数料を否定できない業界であり、力があれば両手に出来る業界だと思われる。基本的な不動産手数料について今更ながらであるが、当社の社員から不動産仲介手数料を無料と宣伝する業者が現れてきた事を知らされ、今後の会社の対応を聞かれたので、改めて不動産仲介手数料を考えてみた次第だ。先ず、不動産仲介手数料を両手で商売するのは利益相反になるので、当社としては行いたくないし、お客にも買主と売主の双方にそれぞれ仲介業者が付くべきと説明したい。次に、不動産仲介手数料を無料にする問題だが、売主と買主又は貸主と借主の両方から手数料を貰わないとなれば、そのビジネスモデルは宅地建物取引業者として稼ぐのではなく、全く別の視点で収入を得ることになるので此処では採り上げない。このため、論点としては、片方から仲介手数料を取ると言う考え方だが、手数料を取られないことに飛びつくのはリスクが伴うことだとどの位の人が知っているのかと考える。利益相反も考えものだが、それ以上に片方から取らないと言うことは、一方の利益を守る立場と考えると理解しやすい。良く昔から無料(タダ)より高いものはないと言われるが、正に真実である。勿論、最近は無料(フリー)で商売をするビジネスモデルが横行し話題になっている。然し、不動産仲介業は物販と違い1年間で保証期間が切れるものとは違い、取得後や入居後、退出後の責任も関わってくるので必要な手数料は支払った方が良いと思われる。グローバル社会になり、その国特有の商習慣が否定される時代ではあるが、何故その様なものが必要なのかを再考した上で選択することも重要なのではないかと思われる。時代に翻弄されないことが自分自身の利益を守ることである事を知る必要がある。
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