財務省の消費税アップのシナリオが最終段階になったと思われる。財務省は東日本大震災と福島原発事故を巧みに利用して消費税アップのシナリオを描いたが、どうやら景気指数によって増税の実施を最終的に判断すると言う誤魔化しで成立の見通しだ。今回の財務省の役人の増税シナリオには隙がなかった。勿論、国民など無視した遣り方は悪例として残り、官僚と国民の乖離は一層増すであろう。民主党反対派の小沢一郎もホッとしている事だろう。消費税反対の拳を上げたものの、自民党の谷垣総裁と野田総理の謎の会談をマスコミがリークして周章狼狽したと推定される。小沢一郎自体は消費税の増税には反対ではなく、飽くまでタイミングの問題と言明している。それが、景気指数と言う実施に条件が付いた事で直ぐには拳が下ろせないものの、最終的には自分だけ国会決議に欠席して終わらせる事になるものと推察される。財務省官僚と野田は最初から決めていたシナリオであろう。小沢にとっても野田総理にとっても早期衆議院解散は避けたい所だ。然し、真っ向から小沢一郎が消費税のアップに反対している状況では、小沢が一番不安がっている解散を持ち出すのが良い方法であり、解散できないと高を括っていた小沢に対して、自民党の谷垣総裁との解散密約会談を流布して小沢に一撃を加えた。日銀が景気回復に向けて動き出したから可笑しいと思っていたら、消費税増税の道筋が見えて来たから、円安を誘導して株高に持って行き、野田政権の支持率アップに転換したのであろう。世論誘導で一役買ったのは財務省次官が天下りした読売新聞であり、情報操作でも事前に手を回していた。今回の消費税の増税で一番の問題点は、二重課税の問題その他を見直す必要があったのに、増税に反対か賛成か終始し、その手の議論が余り行われずに消費税の増税が決まることである。財務官僚は小泉純一郎と言い、野田圭彦と言い、馬鹿な国会議員を篭絡するのは上手い。
原発再稼動に野田政権の政治的決断など笑止千万
政治家で大成するのは昔から厚顔無恥の人間という言葉があるが、民主党の野田政権に係わる国会議員を見て改めて思い出した。当初は国民も福島原発事故は想定外の津波によるものとして理解していたが、これまでの多くの調査や有識者の分析で防げる事故を起こしてしまったと言うことが分かりつつある。国会で進められている黒川委員長の事故調査委員会がどこまで事故の真相に迫れるかだが、政府の事故対策本部に議事録が残されていなかったり、東電の録画ビデオに肝心の箇所で声が録音されなていなかった事を聞くに連れて情けないのひと言に尽きる。子供でも嘘をついているのが分かる事を平気で言うのを聞くに及び、この様な国民が原発など保有してはならないと改めて怒りを感じる。然も、野田総理は福島原発事故の総括も終えていないのに原発再稼動を政治判断すると言明するに至り、野田と言う人間は政治家に最も相応しくないと驚いた。民主党の野田政権の行動を見ていると正に法非官僚そのものの考え方だ。原発再稼動に向けたストレステストに関して原子力安全委員会の見解が一次試験では容認できないと言う言質に対して、二次試験を実施しても同じことの繰り返しであり、短期に解決できない見解を受け入れる訳には行かないと嘯いた。野田と言う男は原子力について何が分かっているのかと言いいたい。政治家として原発の早期の再稼動を行いたいなら福島原発事故の総括を行い、総力を挙げて事故を防ぐ体制を構築し、再稼動は最低でも最新の原子力発電所に限定するべきだ。9電力会社の電力設備は全体的には過剰なことは周知の事実だ。全国の電力需給網を構築するには東日本と西日本を分断している周波数問題を大至急解決させることが必要なことだ。25年以上前に円高で海外に工場移転が始まったにも拘わらず、電力長期需給計画を修正もしないで電力会社に指導してきた政府の責任は重い。特に、グローバル経済や少子高齢化により電力需要が急速に先細りするにも政府は電力会社任せで何も手を打っていなかった。それどころか電力自由化などを推し進め電力会社に効率経営を求めた結果が津波対策投資の先送りによって福島原発事故を誘発してしまった。政治家として原発の再稼動に対して遣らなければならない事は目白押しだが、何も遣らないで政治的決断とは恐れ入谷の鬼子母神だ。野田は松下政経塾で学んだそうだが、実業家の松下幸之助が国家や国民を考えた人物は思えない。一介の町工場から大企業に成長させた事業家の手腕は評価するが、飽くまで実業家としての手腕だけだ。政治家としての才能が有ったかどうか知らないが、松下政経塾の政治家が悉く国家と国民の役に立っていない事を考えると晩年に松下政経塾など余計な道楽をしてくれたと思わざるを得ない。今の政治家は官僚に聞くから法律の法を越えることが出来ず、国民の為になっていない。政治家は官僚の様に法律を守るのが仕事ではない。国民生活の為に法律を変えたり作るのが仕事である。議員立法の作れない政治家など国民に不要と言われる事を肝に銘ずべきだ。