今年頂いた年賀状を読んだ中で印象的だったのは北海道札幌市に所在する曹洞宗薬王寺の住職である田中清元さんからのものであった。田中和尚は、私の兄の大学の後輩にあたる人なのだが、学生時代に紹介された時には一般の大学生だったので住職になるとは想像もしなかった。大学卒業後暫くたって家業のお寺を継ぐために曹洞宗の本山で修行したのだが、修行僧の時に一度お会いしたことがあった。僧衣にブーツを履いた姿は滑稽だったが、私も当時は鳥打帽をかぶっていたので、その時に兄と三人でクラブに飲みに行ったときにホステスから刑事と間違われた。可笑しな組み合わせでホステスも面食らったのであろう。田中和尚は行動する住職として有名になり、過去には風の会で参議院の全国区に出馬したこともある人だ。
今年の年賀状には、「正しい見方は 正しい心から それは正しい教えに始まる」と冒頭に書かれていた。そして最後には、「正しいという字は一度止まると書く。姿勢を正し、深呼吸して心を落ち着かせ、新しい年を迎えたい。」と結んでいた。成る程、漢字は優れたものであると改めて感じ入った。正しい行いかどうかは、一度止まってから考えることが必要なのだろう。若い学生時代にはやんちゃな人であったが、今は高僧になり仏法の教えを広めている。
毎年頂戴する年賀状には時勢を反映した有意義な言葉が書かれているので、有難く読ませていただいている。一度時間があればゆっくりと田中和尚の説教でも聞いてみたいと思っている。