松下幸之助が政治家を育てるために「松下政経塾」を造った時には若かったこともあり理解できなかったが、最近の政治家の社会経済の経験不足を思うと分かってきた。尤も、松下政経塾が成功したかと言えば政治家を輩出したが中途半端に終わった感がある。松下幸之助が見届けることなく亡くなったことも松下政経塾が未完成であった理由とは思われる。松下政経塾に入った者は政治経済の勉強以外に商売などの心得や実践の指導を受けてて戸惑ったと聞く。しかし、その商売に係る指導に松下政経塾の設立の目的があったと思われる。松下幸之助は当時の政治家が社会経済について無知なのに良い政治が行えるわけがないと喝破したと思われる。その後の推移を見ると、秘書上がりの政治家や二世議員、官僚など社会経済に精通した人材でない議員が多くなり、松下幸之助の懸念が的中した。勿論、経済界も天下国家を考える国士的な財界人はいなくなり、自分の会社しか考えられない企業経営者が多くなったのも一層ひどい政治になった原因ではある。職業政治家は選挙に落ちると金銭的に厳しくなるので、選挙に落ちない事が目的となる。この様な政治家に良い政治が出来る訳がない。職業政治家が良いと言われたのは、企業経営者が議員になると利益誘導や汚職の問題が起きると懸念されたことにあるが、企業経営者は社会経済を知るので現実と遊離した政策は行わないので、今日的な非正規雇用など少子化を招いた政策など実施しなかったと思われる。30年以上も停滞している日本経済は机上の理論の官僚と労働組合を守る政党と自分の会社だけしか考えない経済人が作り出したものと言える。多額な国債発行の為に低金利を維持しなけれならないので正常な資本主義さえ壊してしまった。経済成長の為に馬鹿の一つ覚えのイノベーションを唱える様は新興宗教と見紛える。幾ら企業が頑張っても政治家が無能では社会経済は良くならない。最近の政治家は少子高齢化など忘れて経済防衛を標語にしている。岸田政権は異次元の少子化対策を取り上げているが、官僚などはロボットとAIの時代に昔の様な人口がもたらす経済成長など考えてはいないと思われるので、絵に描いた餅になる可能性が高い。