イーロン・マスクに関する本を読んだ。IT業界出身なので当然かもしれないが、経営に関してプログラムを自ら書き上げる様に全てに関与しなければ我慢が出来ない手法に興味を持った。理系の頭脳と自ら理解し納得しないとダメな性格が強烈な現場主義の経営を生んでいるが、更に既成概念や先入観に対して全て疑う姿勢は生い立ちや遺伝の結果と本には書かれているが、創造的な事を起こすには否定から入るのは当然とも言える。尤も、イーロン・マスクの下で働く人は使い捨てを覚悟で働く必要があり、安らぎが欲しい場合には退職するしかないが、若い時ならば苦にならないとは思われる。イーロン・マスクに関しては別な本(創始者たち)でIT業界における起業の時の仕事ぶりを知っていたので、今回の本では電気自動車に取り組む姿勢、ロケットの開発、衛星通信への進出に興味があった。最終章ではTwitterの買収が語られており、未完成の物語として扱っている。イーロン・マスクはアップルのスチーブ・ジョブスやマイクロソフトのビルゲイツと同じ評価があるが、イーロン・マスクは生産現場の作業まで自ら体験して判断する稀有な持ち主なので、デザインに終始したジョブスやソフト開発に止まったビルゲイツとは根本的に違うと思われる。イーロン・マスクはアスペルガーと言われており、確かに人との付き合いなどや社員の扱いを見るとその傾向にあるかもしれないが、天才に良く見られる様なとことん突き詰める性格が彼を成功に導いてると思われる。翻って、イーロン・マスクと同様な人物が日本にいるかと言えばNOと言わざるを得ない。しかし、イーロン・マスクにも中国に対する市場を考える余り、自らのアイデアを盗まれるリスクは考えなかった様だ。中国の電気自動車は今や上海のテスラ工場の電気自動車を模倣して世界に打って出ている。日本では今、工業専門学校の生徒に注目が集まっているのは正にミニイーロン・マスクの様な人材が求められているのと思われる。勿論、イーロン・マスクにも弱点はあり、それは人文系の知識の分野と見られる。更に、電気自動車でもトラックに関しては未だに完成しないと言われているが、その失敗はトラックの使う人達や業界を省みずに設計したからの様だ。ロマンを追求するあまり、現実とのギャップがトラックに関しては起きてしまった様だ。少ない失敗の一つだ。イーロン・マスクの信条は出来る迄遣り続ける事であり、然も短期間に行うことが他者との大きな違いだ。何れにしても、イーロン・マスクについて書かれた本は一読に値する。