百年住宅の実現

デフレ経済が日常的になると必要になるのは長持ちする住宅であろう。尤も、デフレ経済が長かった江戸時代には庶民は持ち家に住むと言う考えはなかったので、長屋と言う便利な賃借の共同住宅が多かった。一部の金持ちは別として明治時代・大正時代・戦前の昭和時代迄は、長期間の借り入れで家を買う考え方はなかったのだろう。企業は長屋の代わりに社宅を社員に提供したと思われる。戦後の高度経済成長によるインフレ経済で先見の明があった人は借金して家を購入したが、それでも大手企業に勤務していないと銀行からお金が借りられず簡単には家など買えなかったのが実情であった。それが1970年頃から個人が自動車を購入出来る所得水準となりモータリゼーションが起き、その後は持ち家購入出来る所得水準となっていった。勿論、国による政策もあって住宅ローン会社の設立が認可され、持ち家の人が年々増加した。1994年位迄はインフレ経済であったので、10年位で住宅を買い替える事を念頭に置き、2度目で終の棲家の戸建を購入するのが一般的な考え方であった。このため、供給者の住宅販売会社も耐久性のない安普請の住宅を造り続け来た経緯がある。然し、1996年以降はデフレ経済で住宅価格が上昇しない前提での購入のため、一生に一度の買い物として住宅を考えるように変わったので、購入者はインフレ経済時代と比較すると住宅の品質を重視するようになって来た。インフレ経済時代より品質は良くなっても近年の住宅は設備的な面で建築コストが掛かるようになったために躯体的には耐震基準をクリアしているが必ずしも長期的に耐えられるとは言えない見掛けだけの住宅も多いのが現状である。21世紀に入り、グローバル経済による格差社会の中で住宅、更に今回の様な大きな経済変動が周期的に起きる事を考えると親子三代が使える様な頑丈な住宅の建築であり、この住宅に付くローンの実現を提案したい。100年の耐用年数の住宅の建築となれば、現行の様な人に貸す住宅ローンでなく、建物に付帯するローンにすれば、中古住宅として次の購入者に自動的に安いローンを提供することが出来て理想的と考える。環境的にも住宅資材を消費財として浪費することがなく、住む人にも負担が少ない「百年住宅」の普及を考えようではありませんか。

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