金融危機で経済が失速するのを防ぐために各国の中央銀行は紙幣の流通を増やしたために通常の平均2.3倍のお金が出回っているとのことである。経済学者でなくても此れの意味する所は通貨価値の下落によるインフレなのだが、問題は世界経済が縮小スパイラルの危険性がある中でインフレが起きると正にスタフグレーションになる可能性が大きい。それにも況してドルが下落しているために円と同様に対ドルに対して必要以上に通貨の価値が上昇して困っている国も出てきている。100年前の大恐慌の時には世界経済の回復は10年掛かったが、今回は情報化時代で時間軸が速くなっているので世界経済の混乱は当然に短期間で納まるであろうが、問題は金融バブル経済崩壊後の需要回復に見通しが立っていないことであろう。日本の企業も中国の内需拡大の恩恵で輸出が持ち直してきているが、中国自体の経済成長は米国や欧州の景気に依存してきたために、欧米の需要が回復しなければ経済が失速する危険性は高く、日本企業も大きな打撃を受ける事になる。過剰流動性のお金が商品に流れ込んで物価を押し上げる場合、失業率が高く、給与所得が上がらなければ消費は落ち込む事になり、最悪のシナリオとなる。尤も、国からすれば庶民の生活より膨大に増加した国の借金の解決が優先事項と思われるので、スタフグレーションも視野に入っているかもしれない。そうすると、スタフグレーション下での生活防衛に対して有効な手段は何かを考えて事前に手を打つ必要が出てくる。