八ッ場ダムについて!
民主主義国家であればダム建設計画の実施に要する期間は相当な年月になるのはやむを得ないかもしれない。しかし、八ッ場ダム計画は昭和42年(1967年)に開始され、平成6年(1994年)に漸くダム建設に係る工事用取り付け道路の工事に着手出来た年月に到る過程でダム建設計画の必要性の見直しが行なわれたかが問題であろう。同計画は首都圏に安定した水を供給する目的で立案された利根川水系のダム計画のひとつである。確かに、首都圏では10数年前迄は夏季には毎年水不足の懸念があり、給水制限等の措置が取られていた。然し、暖冬の猛暑の割にはここ数年、水不足の懸念が起きてなく、節水を呼びかける声も聞かれない。2000年以降は高層マンションや超高層の建物の建築が相次いだにも拘らずである。良く考えると、首都圏で大量に水を必要としていた施設は何かと考えると、生活水ではなく、工業用水ではないかと考えてみると当らずも遠からずであろう。首都圏では20年以上前から公害対策で工場の地方移転が進められてきており、その後は日本経済バブル崩壊やグローバル化によって首都圏から工業用水を必要とする工場が急激に減少した事が水不足解消の原因と推定される。勿論、八ッ場ダム計画を中止するにしても首都圏の将来像を考えた上で決断する事が重要だが、八ッ場ダム計画の最大の問題点は、水需要が当初予想と異なるにも関わらず規模や実施時期の見直しが行なわれなかったことである。尤も、インフレ経済的な思考で未だ動いている役所なので全て同様であるが、基本的には縦割り行政の弊害でもある。何れにしても必要性の有無より景気対策の必要性に切り替えられて進められてきた八ッ場ダム計画は一時的に中止し、首都圏のマスタープランにおいて本当に必要かどうか再検討することは重要である。特に、財政難と国の借入金を増やさないためには事業の優先順位を決めて段階的に実施する他、時代に合わなくなった計画を中止することは最優先課題である。