大きな曲がり角に来た日本のもの造りの考え方

日本のもの造りは岐路に立たされてている。私はドメステックな分野で見ているだけなので必ずしも的を得ていないかもしれないが、全ては消費サイクルと消費者の低価格指向に起因していると思われる。確かに、日本の製品や建築物はフル装備が当然とされてきた歴史があり、反面価格が高い難点もあった。大分前になるが、液晶TV画面を日本で販売していた韓国の業者と日本製品より安い秘訣について聞いたことがあった。その答えは、韓国の液晶画面は正面から見るだけに機能を限定してコストを下げている事であった。韓国の家電メーカーはこの考え方で価格を下げて日本家電メーカーを圧倒している様だ。確かに、日本の電気製品類などは消費者の要望以上に機能がついており、不必要と思われる機能も多い。勿論、フル装備が欲しいと言う需要とのバランスなのであろうが、生産ライン的には少量多品種製造はコストが掛かることになり、どちらかに決めなければならないのも真実である。一歩進んでオプション部分をどれだけ増やすかが消費者のニーズを考えた物づくりかもしれないが、これは口で言うほど製造ライン的には難問なのであろうと思う。翻って、当社の分野の建築・不動産に関しては、極端に言えばマンションなどは中国の様にスケルトン仕様にして内装・付帯設備工事を完全にオプションにすることは可能である。然し、問題は工事や設備機器類は個々に発注するより一緒にした方が安くなると言う現実である。更に、マンションなどは水周りなどは騒音の関係から自由に設定する訳には行かない事である。販売の面から見るとオプション制は必ずしも業者にとっては不利ではない。逆に、購入者はオプションによってはフル装備のマンションより高く付く可能性もある。長々と纏まりの無いblogを書いたが、結論から言えば、安くて良いものはないし、オプションは自分で決めた満足感は持てるが、必ずしも安く出来る訳ではないことも考える必要がある。また、余程マニアでない限りは経験を有した専門家のアドバイスを受ける必要があることも認識すべきである。インフレの時代には価値が上がったのでフル装備でも良かったが、グローバル経済で商品類のデフレが進行する過程では、先ずコストあり気であり、付加価値はオプション制で求める事が主流となってきている。この様な世界では完璧主義の日本人の性格は災いとなり、世界のマーケットから取り残されてしまう可能性がある。建築・不動産業界などは真面目に行なってきた技術者や会社は高コストの悪玉と思われ排除されてきているので、現代の社会では気をつけないと整形美人で喜んでしまう結果になりかねない。

情けない日本人

NHKが年末に司馬遼太郎の作品「坂の上の雲」を放送する。何故今再び、この作品を国民に見せるのかは言うまでもないと思われる。明治時代と言う貧しき時代に頑張った明治人の生き方を今の日本人に再認識させることが必要と感じたからであろう。勿論、明治時代にも清清しい出来事ばかりでなく現代と同様に卑劣な日本人はいたと思われるが、問題は明治人の方は現代の日本人より遥かに崇高な意思と目的を持って存在していた事は事実である。私の母方の祖父も明治人であったが、現代の様に孫を馬鹿可愛がりする人ではなかった。私にとって祖父は親以上に厳しい存在であったが、この年になってもその教えは生きている。確かに、現代の日本人は豊かになったと思うが、教養と言う尺度からすれば最低レベルで生きている。米国資本主義を信奉した似非学者や評論家が跳梁跋扈して馬鹿の一つ覚えで「選択と集中」や「短期的な利益の追求」などを鸚鵡返しに叫んでいる。英語が話せるだけで無能な連中が高額な報酬を取ったり、パソコンを使えるだけで実務能力が無い者が実績を上げて来た者を馬鹿にする図式は呆れてものが言えない。PCが入り込んできたためにデータ重視の社会となり、恰も実務経験など必要がない様に思われてきているが、その延長線上に人間も必要ないことを忘れるべきでない。データなど採用の仕方で如何なるものにもなることを忘れているし、データは過去を語っているに過ぎないことも忘れている。実務経験軽視くらいは許せるとしても、企業のリストラ推進のために行なっている"虐め"は本当に情けないの一言に尽きる。日本経済バブルが崩壊してから日本人は自信を失って米国に盲従して来ているが、当の米国の政治経済を見ると何も学ぶべき事はないことに気づいた。米国経済は人を大事にする社会ではないからである。資本家の利益を確保するために実務経験者を切り捨てて安い未経験者と交代させるために経験を重視しないデータ中心の社会を築いてきたのである。米国が日本に持ち込んだのは格差社会と犯罪増加、更に人間不信である。尤も、米国でもGEの様な企業もあるので学ぶ企業や人を間違えた結果と思われる。嘘を言っても騙しても平然としている金融業界などのシステムを金科玉条として受け入れた企業とその経営者が日本を駄目にした輩である。

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