鳩山由紀夫の考え方の素

世の中には優秀な人がいるもので、鳩山首相が辞任の時に述べた言葉「私は10年、20年先を見ている~」の件について私が考えていた答えを出してくれた方がいた。その方は、鳩山由紀夫のスタンフォード大学院の博士論文のタイトルが「マルコフモデル」であったことに気がつき、鳩山と言う人物は過去を参考にする学習効果を持っていない発想をしていたのかと指摘していたことである。確かに、マルコフモデルは現在の状況が未来に影響することを説いた学問であるが、私は更に未来から現在を語る鳩山由紀夫の考え方は、今IT業界で主流のベイズ統計の中で重きをなすマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)の影響があるのではないかと思えて仕方がない。将来を仮定して現在の解決策の回答を得る手法は、彼が言う正に「私は未来を見ている~」と一致する。通常の人なら学問で学んだ事と現実社会とは実務経験により区別するものだが、鳩山由紀夫の場合には学問を学んでから大学に教職を得たものの、ビジネス社会で揉まれる様な経験がなかったために自分の考えの拠り所は博士論文で学んだマルコフモデルに準拠していたのであろう。鳩山由紀夫は辞任に際し、更に「国民が声を聞かなくなった」と言ったが、これもマルコフモデルの影響で何度も県外移設を唱えると県外移設が実現するとの読みと理解すれば全てが分かる。鳩山由紀夫は宇宙人と言われるのが好きだったらしいが、私から言わせれば偏屈なマルコフモデル信奉者としか写らない。また、鳩山由紀夫がマルコフモデルを選択した理由は、学問的に優秀な弟「鳩山邦夫」を持ったがために過去を振り切りたいと思ったからと言ったら語幣があるだろうか。私にはそう思えてならない。

人間の質を教えられた本「この命、義に捧ぐ」を読んで

偶然に新聞に掲載された本の広告で「この命、義に捧ぐ」知り、購入して一挙に読んだ。私が興味を持ったのは主人公の「根本陸軍中将」が昭和20年8月15日の終戦以降も日本人の帰国を守るために武装解除しないで多くの日本人を無事帰国させたことである。命令が厳格であった軍隊において命を賭して中国大陸の内モンゴルで生活していた日本人を帰国まで守り抜いた根本博と言う一個人に対して驚いたのである。勿論、多くの日本人が無事帰国できたのは、当時の中華民国の総統であった蒋介石の温情によるものであった事も確かである。私が戦後中国から引き上げてきた人達や以前話題になった中国に残された孤児に人より興味を持っているのは、私の祖母と母が引揚者だからである。特に、祖父は引き上げ途中に病死した事もあり、子供の頃から日本陸軍の無責任さとロシア兵の横暴を聞いていたためである。私の母は相当お転婆だったらしく、戦前に遠縁の祖母を頼って満州に渡り、学校の先生や満州国の出先の行政機関の暗号係りをしていたとのことであった。しかし、祖父の関係で満州の奥地に居た為に戦争が終結した事も分からず、気が付いたら軍隊はいなくなっていたことを聞いていた。このため、異常事態に気が付いた民間の人達が団結して今の中国の大連市まで苦労して引き上げてきた事も聞いていた。しかし、駐蒙軍司令官の根本中将の様に4万人に及ぶ在留邦人を帰国させるために命を賭けた軍人がいた事を知って人間の質とは何なのだろうかと考えてしまった。根本博氏は戦後一民間人になったが、今度は蒋介石に恩を返すために台湾に苦労して渡り、命を賭けて台湾防衛に尽くした生き方は凄いのひと言である。この様な人物がいた事さえ知らされず、逆にシベリア抑留の張本人である瀬島龍三などが英雄視される日本を思うと今の無責任な日本人の生き方が良く理解できた。明治維新以降、多くの優秀な子弟が陸軍士官学校や海軍兵学校に学んで軍人教育を受けたのだが、多くの軍人の生き様を見ると人間の質を形成するのは教育だけではなくその出身地域や家系であるかもしれないと思った。ちなみに、根本博氏は福島県の農家出身であり、明治維新の時には逆賊と言われた地域である。

沖縄・普天間基地問題で社民党の離脱は茶番か?

鳩山首相が言明していたように沖縄・普天間問題は日米間で5月に一応決着を見た。昨年9月に衆議院選挙で民主党が圧勝して政権に就いたが、参議院では単独過半数の議席を有していなかったので、政策協定を締結して国民新党と社民党が連立政権に加わった。民主党のマニフェストを読んでいないので沖縄・普天間基地移設先を県外と明記していたかどうかは知らないが、社民党を連立政権に参加させるには政策協定で県外移設を盛り込まなければならなかったのは明確である。しかし、これまでの動きを見ると、鳩山首相が本当に県外移設可能と判断して動いていたかどうかは疑わしい。本当に県外移設を実現化する意図があるならば何等の根回していない徳之島の名前を出す事は考えられない。平野官房長官の無能さを指摘する新聞記事もあるが、平野官房長官は労働組合出身者であるので、日本の組合運動を少しでも知る人は平野氏は根回しの世界で生きてきたと思分かり、根回しをしないアクションなど行なう筈がないのを理解できる。それならば此れまでの鳩山内閣の普天間基地移設問題での迷走は何なのかと考えると、当初からの解決のシナリオとすれば良く理解できる。社民党からすれば今回の福島消費者賞大臣の罷免は政策協定違反の裏切り行為なので連立離脱しか道はなかったのだが、離脱後の会見で参議院選挙での民主党との協力関係は変えないと説明した様に国民からすれば正に茶番なのである。しかし、小沢幹事長にとって誤算だったのは、鳩山首相の演技下手で内閣と民主党の支持率が落ちたことと推定される。今後は選挙に向けて支持率の回復を目指して手を打つと思われるが、現時点では鳩山首相の電撃的な退陣となるかどうかは予測し難い。
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