二代目

今、歌謡曲で鳥羽一郎の息子が"二代目"との曲名を歌っている。一般的には徳川家康の徳川家で二代目、三代目について模範的な家継承を伝えられているが、悪い意味では二代目は"二代続いての長者なし"、三代目は"売り家と唐様で書く"との格言は有名だ。二代目も三代目も初代と比較するとは当然の言葉だが、二代目に関しては初代の苦労を見てきているので散財して家を潰す例は少ないと見られている。三代目は初代の孫なので厳しさより甘やかされて育っているのは確かなので、能力が相当に秀でていないと初代が起こした事業を継承するのは難しいのかも知れない。しかし、過去に不動産開発でお会いした京都に本社がある二代目と三代目は一般的な事例と違い、二代目は派手な人であったが、三代目は初代の祖父の血を引いたらしく堅実な方で有った。確か、学歴的にも優秀で京都大学を出ていた。この為、二代目、三代目の評価に関しては必ずしも答えがなく、その人物を見ての判断が重要と思われる。二代目と称してブログを書いたのは、ビックモーターの二代目に関して疑問を持ったからだ。グローバル経済とデジタル経済、デフレ経済に見舞われている日本において過去の二代目、三代目の議論は意味がないのかもしれないが、私が若い頃に都市銀行の子会社が主催する後継者研修に参加していた時に事業継承者の先輩から聞いた話に納得感があったので、その意味でもビックモーターの企業姿勢に関しては不思議な感がした。先の事業継承者の話は、長男が継承者として位置づけられると、父親と事業方針で意見を異にして継承者に残れないと言うものであった。その時に父親が65才以前か以後がで後継者の位置づけが異なり、多くの企業の後継者は次男となっている理由になっている。ビックモーターの二代目は早稲田大学卒とMBAも取得し、損害保険会社に勤務してから父親の会社に入ったとの報道であった。ビックモーターの親子の年齢から見て息子に全権を渡したとは思えないが、二代目に経営を任したとすれば事業の存続に対する危機感があり、若い世代に事業を任した方が良いとの判断があったかもしれない。過去の2代目の二つの経験則に該当しないビックモーターの二代目に関しては違う見方が必要なのかもしれない。26年前にバブル経済が崩壊しても自動車産業に関係する企業は不景気などないと謳歌していたが、2000年以降のテスラの電気自動車の出現とテスラ創業者が唱える自動車保険のデータ採用による保険料金の引き下げは、自動運転の出現と相俟って損害保険会社にも脅威を及ぼしている。損害保険会社の稼ぎの60%が自動車保険でカバーされている現実は将来の事業に危機感を持たせている様だ。ビックモーターの事件も背景は複雑と思われる。翻って、米国のIT企業を見ると二代目、三代目など身内を後継者に選ぶなどは眼中にないし、身内が事業を継承できるなどとは考えていない。確かに、米国のIT企業を創業した人達を見ると頭が極めて良い。頭が良いから技術開発と経営の区別も理解しているので、創業した会社をプロの経営者に任せる考えが強い。私自身も従業員を考えれば後継者を身内に限定した考えはなかった。能力があれば継承すれば良いし、能力がなければ継がない方が幸せだと思ったからだ。そう言えば才能を必要とする職人の世界には身内を積極的に後継者とする習慣がないように思われるが、歌舞伎の世界などは幼い時から芸を身につけさせて後継者に育てている。スポーツの世界は一代で終わるのか、幼い時から学ばせても親を超える才能を持った二世は見かけない。勿論、経営は技術と言うよりは感性に近いのかもしれない。後は運が必要と思われる。今回は二代目の標題だが、取り留めのない話に終始してしまった。

消齢化

デジタル社会になり音楽の世界では現在過去未来の区別がなくなったとの声が聞かれるが、最近は消齢化と言う言葉がメディアで見かける。過去より年齢による区分が無くなってきている様だ。バーチャル世界では年齢を偽ることが出来るのでその事がリアル世界に反映されて来ているのかと考える。確かに、デジタル社会では幾つもの自己を創出が可能であり、バーチャル社会でリアル社会で出来なかったこてを実現させることも可能だ。脳がバーチャル世界とリアル世界とを異なる世界と認識出来にくくなることが指摘されている。音楽の世界に時の境が無くなり、消齢化が起きているのはバーチャルとリアルとの境が未来社会では無くなることを暗示しているのかもしれない。現状でもデジタル技術が人の脳に影響を及ぼしているので、更に科学が進むと如何なる世界が現れるのだろうかと思ってしまう。翻って、最近の歴史小説ひとつとっても過去に考えられない斬新な発想で書かれている。これもデジタル社会で人の脳が影響を受けていることならば確かに人が課題解決に一歩進められるのかと期待できる。ミクロ世界の量子力学が開いた扉は人類が経験したことがない世界に連れて行ってくれると思われるが、それは明るい未来になることを祈りたい。

マンションの相続税課税強化について

国税庁のHPを確認しないでマンションの相続税について前回言及したので、幾つかの点で勘違いしていた事とが分かった。マンションの実勢価格と相続税評価額が乖離しているので是正措置とのことだが、不動産に関して理解していない有識者の集まりで議論されているのも問題と思われる。何でも統計的に改善すれば良いと言ったものではなく、今回のマンション価格の実勢価格と相続税評価額との乖離の是正の議論の中で触れられていたが、タワーマンション以外は需給バランスが一時的に狂いが生じている可能性があり、その需給バランスによって今回の是正の計算式を見直すことにも言及されている。タワーマンションに限って言えば、デベロッパーが必要以上に価値を創造しているだけであり、本来の不動産の評価方式から言えば販売されている価値がない。しかし、将来的な維持管理を考慮すれば、評価額以上の価値を創造しないと改修工事や建て替えを含めて資金の調達ができなくなり、スラム化する予測があるのも事実である。今回の件はマンションに限定しても措置といえるが、高層の区分所有建物はマンションに限定されたものではないので、オフィスなどに関しては実勢価格と相続税評価額について60%ルールが適用されるのかだ。今回の4指数(築年数、総階数、所在階数、敷地持分狭小度)以外にも議論の中では実勢価格と乖離している要件があるとは指摘されているが、その様な視点以外にも維持管理の面でも考慮しなければならないので無難な4指数に落ち着いたと思われる。何れにしても日本の戦後経済がインフレから始まり長い期間継続したので、国税庁の作った計算式はインフレを前提としたものであった。それが経済バブルが崩壊し、一転してデフレ経済になった為にその計算式が合わなくなったことがあった。今回もタワーマンションや一時的な需給バランスが崩れた中で起きた実勢価格との乖離において是正措置を講じると良い結果とならないと思われる。

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